7才小型犬の上顎第四前臼歯抜髄根管治療|奥歯が折れて神経が露出してしまった症例
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当院では、歯周病や歯石、口内炎などの口腔内トラブルへの治療・予防、歯周外科、歯周組織の再生療法といった、幅広い歯科治療を行っています。
なるべく少ない回数で完了する最適な治療を行うために、歯科レントゲンや都内でも導入件数が少ない高性能顕微鏡(マイクロスコープ)を導入。また、お口の常在菌レベルから検査を行うことで、なるべく正しく状態を把握します。
ただお口を治せば良い、というだけではありません。
そもそもお口の健康を保つ常在菌のバランスから正すこと。そして、お口から繋がる全身の健康にまで目を配って診療をいたします。
愛犬と愛猫は私たちよりも歯石ができやすく、毎日しっかりと歯磨きをする必要があります。
まずは歯ブラシなど道具を口に入れる練習から始め、数週間かけて、全部の歯を磨けるよう練習していきます。
おすすめのケア用品を含め、丁寧に磨き方の指導とご案内をいたします。
歯周病は、歯周病菌が歯茎などに触れることで炎症を起こし、徐々に進行する感染性の疾患です。
歯肉炎(歯肉の炎症)と歯周炎(歯の周りの骨などの炎症)に大別され、4段階のグレード(重症度)分類があります。
軽度の歯肉炎だけの状態であれば、歯磨きなどのホームケアで改善する場合もありますが、抜歯を含めた麻酔下での手術が必要になります。
当院では麻酔下での歯石除去術を推奨しています。歯周病治療として歯石除去を行う場合、歯茎の溝(歯肉溝)の中の歯垢(プラーク)と歯石をしっかりと除去する必要があります。
起きている状態の愛犬と愛猫の歯肉溝の汚れを取りきることは困難と思われます。
また、歯石を除去する道具は鋭利なため、目や顔を傷つけてしまう可能性があり、愛犬と愛猫に恐怖心を与える可能性があるため、無麻酔での処置は推奨していません。
歯肉炎は、歯肉に歯周病菌が接触することにより、発生する感染性の疾患です。
歯肉炎の治療は、歯についた歯垢を除去することが重要になります。
歯垢は菌の集合体で、抗生剤などの薬剤への抵抗力をもちますが、摩擦により除去することができます。
そのため、自宅での歯磨きや麻酔下でのクリーニングが有効です。
口腔鼻腔瘻は、上顎犬歯の歯周病が進行することで鼻腔と口腔の間を隔てる骨が溶けて、つながってしまった状態です。
歯周病菌による感染が鼻腔に進行することで、咳や鼻水など、呼吸器症状が認められるようになります。
犬歯を抜いて感染源を除去し、周辺の感染した組織を除去したうえで、歯肉を確実に縫合する必要があります。
VALUE.01
KINS WITH 動物病院では、歯科に強みをもったドクターが在籍しており、5000件以上の診療・300件以上のオペ経験を積んだ院長が治療を行います。長年、たくさんの犬猫の口腔を診てきた獣医師だからこそ、ご家族の不安にも寄り添って、最適な検査と治療を選択いたします。
VALUE.02
治療前にしっかり検査を行うことで、ご納得・ご安心いただいた上で治療をいたします。当院では歯科専用レントゲンを導入しており、より正確に、よりわかりやすく、歯と歯周組織の評価をすることで、適切な処置を行うことが可能です。また、オペが必要な際は、術前に血液検査やエコーなどの検査を行うことで、全身の状態も正しく評価した上でオペを行っていきます。
VALUE.03
治しただけでおしまい、ではありません。そもそも口腔環境が良い状態を保てるよう、日常のケア方法もレクチャーいたします。歯磨きが難しいことは100も承知。だからこそ徐々にレベルアップできるよう歩みを合わせて寄り添います。
VALUE.04
犬猫たちも治療には痛みが伴います。だからこそ、当院ではオペ時には必要な麻酔や痛み止めを使い、限りなく無痛に近い状態で治療を行います。麻酔と痛み止めの併用(=マルチモーダル鎮痛)を行うことで、痛みをコントロールするだけでなく、全身の麻酔量を減らし体への負担を軽減しながら治療します。
VALUE.05
歯周病治療においては、一般的な歯を抜く治療だけでなく、再生治療も選択することが可能です。また、麻酔不可の子でも行える治療はあります。愛犬・愛猫の歯の状況を可視化したうえで、どのように治療していくかは、ご家族と丁寧にお話しながら決めていきます。
VALUE.06
治しただけでおしまい、ではありません。お口の健康は、毎日のケアによって、歯周病菌などの”菌”をコントロールすることで保たれます。だからこそ、良い状態を保てるよう、ご家族が実践しやすい毎日のセルフケア方法をレクチャー。また、LINEやオンライン相談で、ご自宅からでもご相談いただくことが可能です。ちょっとした不安も解決できる「どんなときでも相談できるかかりつけ医」です。
院長
都内動物病院や動物医療センターにて約7年、歯科治療・一般臨床を行う。
獣医師
都内の動物病院にて約6年間一般臨床に従事。一次診療を行なう中で日々の歯科ケアと歯科診療の重要性を感じ、今後より多くの愛犬・愛猫さんの力になれるように努めてまいります。ご家族に寄り添った丁寧な診療を心がけておりますので、ご不安なことがあればいつでもご相談ください。
研修医
小動物の獣医師目線だけでなく、歯医者目線でも的確な治療・アドバイスをしてサポートしていきます。お気軽にご相談ください。
BEFORE
歯石がついてしまっただけのように見えますが、全身麻酔下で1本1本状態を確認し、歯科レントゲンを用いて根っこの状態をみてみると、歯周病菌によって炎症がすすみ、歯肉が溶けてさがってしまっている部分や、逆に歯肉が腫れて歯が埋もれてしまっている部分、出血などがみられました。
AFTER
抜歯が必要な歯はなかったため、ついてしまった歯石を丁寧に除去しました。歯石を取ることで歯の表面に肉眼では見えないレベルの細かい傷がつき、その傷をそのままにしておくと歯垢が着きやすくなってしまうため、最後に数種類の研磨剤を使い分け、歯の表面をツルツルに研磨して仕上げます。
BEFORE
全体的に歯が歯石に覆われ、歯肉の後退も大きく、歯科レントゲンでは歯を支える歯槽骨がとけてしまっていたため、重度の歯周病と診断しました。また主に上顎の犬歯を中心に歯周病が進行し、その歯を支える歯槽骨や顎骨が破壊されることで、口腔と鼻腔が繋がってしまっている『口腔鼻腔瘻』でした。
AFTER
歯の歯石除去、残すことができない歯の抜歯を行いました。また炎症を起こしている歯肉や歯周組織を丁寧にすべて取り除き、適切なフラップデザインをもとに歯肉粘膜を縫合することで、あいてしまった穴を塞ぎ口腔と鼻腔を再び隔てることで『口腔鼻腔瘻』の治療を行いました。
BEFORE
歯周病により、歯肉の後退により歯の根っこが見えてしまっている部分や、あごの骨が溶けているために、グラついて倒れてきてしまっている歯もみられました。
AFTER
レントゲン撮影により左右の犬歯は残せると判断したため歯石を除去し、他の歯は残念ながら残すことが難しいと判断し抜歯をしました。
都内でも導入院数が少ない高性能顕微鏡。
肉眼では確認できないレベルの細かい歯石が確認できるため、歯一本一本を丁寧にクリーニングいたします。また、詳細に見えることで、治療する箇所以外の組織を傷つけにくい処置が可能です。
通常のレントゲンよりも画素数が多く、口腔の詳細まで確認できるレントゲンです。
歯の神経の状態や歯周病の進行状況を確認できるため、適切に状態を把握いたします。
歯科治療に必要な用具がそろった機材。
歯科ユニットを持つことで、正確かつ幅広い治療が可能です。