犬猫の歯冠修復・抜髄根管治療の施術について(KINSWITH動物病院/二子玉川院)

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KINS WITH 動物病院二子玉川院
記事の内容を担当した病院
二子玉川院

歯科専従の獣医師と専用の設備を備え、一般的な歯科治療に加え難症例や歯を抜かない治療方法にも対応。加えて愛犬愛猫の歯磨きトレーニングの手順や定期メンテナンスについてもご案内しております。
東京都世田谷区 玉川3丁目15-13 EXPARK二子玉川 1階
電話番号:03-6447-9230

歯冠修復・抜髄根管治療とは

歯冠修復・抜髄根管治療とは、歯の破折(歯が折れること)に大して、実施する治療法の一つです。歯の中の神経(歯髄)が露出している(露髄)かどうかで治療方法が変わります。

歯が破折して露髄が起きた場合、多くの病院ではは抜歯が選択されますが、歯科専門の動物病院で専用の設備が充実している場合は歯を残した治療が可能なケースがあります。

破折に対する治療法は、破折が起きた断面で「神経が露出しているか否か」で変わります。破折が起きた箇所を注意深く観察すると、神経が露出している場合は断面に赤い点が見えるので一眼で判断が可能です。

神経が露出していない場合

神経が露出していない場合は「歯冠修復」を行います。

これは歯科医療用の特殊なプラスチックを使用し、歯の表面に被せ物をする方法で、ヒトの軽度な虫歯治療でも一般的に行われる方法です。

神経が露出している場合

神経が露出している場合、神経に細菌が入り込み歯の内側で炎症を起こすことで痛みが出るほか、進行すると歯が抜けるだけでなく歯を支える組織や骨を溶かし顎の骨の骨折を引き起こす恐れがあります。そのため、通常の治療では抜歯が選択されます。

一方、歯科専門の動物病院では歯を残した治療を行うことが可能なケースがあります。その施術方法こそが「抜髄根管治療」です。

これは感染の恐れがある歯の神経を抜き、内部を綺麗に掃除した上で感染を防ぐ薬剤を充填します。、その後、前述の「歯冠修復」でフタをすることで、感染を防ぎつつ歯を温存する治療法方法となります。

抜髄・根管治療は専用の器具が必要で、実施できる病院が限られる傾向にあります。もし施術をご希望の方は、弊動物病院含め、歯科を専門科目として掲げる動物病院にご相談ください。

歯冠修復・抜髄根管治療を実施する目的

歯を残すことが目的です。

犬猫の歯はみなさんが思っているよりもずっと折れやすく、例えば犬の奥歯などは硬いものを噛んだり、横にひねるような力が加わると意外にも簡単に折れてしまいます。

一方で奥歯は「裂肉歯」とも呼ばれ、食べ物を噛むために非常に重要な役割を持っています。そのため抜歯を行わずなるべく残してあげて、施術後の生活の質を保ってあげたいと考え、こうした治療法を実施しています。

歯冠修復・抜髄根管治療の例

まずは施術の例を掲載いたします。もちろん、歯の折れ方次第で適用できる施術方法は変わって参りますので、もし破折を見つけたらまず動物病院を受診して詳細な検査を受けた上で相談してみてください。また、破折の治療は細菌感染との勝負になりますので、発覚し次第なるべく早い段階で受診することが望ましいです。早期発見できればできるほど、可能な治療の幅が広がります。

歯冠修復・抜髄根管治療の施術の流れ

歯冠修復・抜髄根管治療の施術は3つのパートに分かれています。

1.初診

まずはご来院いただき、歯と口腔内の様子を確認します。

初診では目視や打診による診察を行い、歯と周辺組織の状況を確認することで今後の検査や治療の大まかな計画を組み立てます。必要に応じて、頭部のレントゲンを撮影し、仮診断を行います。歯や周辺組織の状態を緻密に確認することで、歯冠修復のみの治療で十分か、それとも抜髄根管治療が必要かを判断します。

KINS WITH 動物病院では初診での検査結果を踏まえ、出来るかぎり歯を残せるような施術を含めた治療をご提案をさせていただきます。飼い主さまのご希望に合わせ今後の愛犬との生活を見据えて施術内容を決定いたしますので、お気軽にご希望を頂戴できればと思います。

2.術前検査

歯冠修復・抜髄根管治療は全身麻酔下で実施しますので、処置を行う前に血液検査をはじめとした各種検査を実施します。これは愛犬愛猫の全身麻酔によるリスクを評価するために必要なもので、基礎疾患の有無をはじめ麻酔によるリスクがないかをあらかじめ確認するものとなります。

*体質や高齢であることを理由に術前検査で「麻酔を行うことができない」という結論に至った場合は、抗生物質や消炎剤による治療を選択します。根本の原因を取り去ることができていないため完治はあまり期待できませんが、炎症の進行を抑えることができます。お口の炎症がひどくなると食事の度に痛みが走るようになりますので、こうした痛みを少しでも抑えるための治療です。

3.歯冠修復・抜髄根管治療

愛犬愛猫の健康状態に問題がなければ歯冠修復・抜髄根管治療の施術に移ります。

全身麻酔の後、破折箇所の施術に移る前にまずは他の歯のクリーニングを行います。これは抜髄根管治療を行う箇所に対して細菌感染が起きることを防ぐためです。クリーニングが完了したら歯冠修復・抜髄根管治療の実施に移ります。

まず歯にラバーダムとよばれるラテックスなどのシートを被せます。抜髄根管治療は歯の中の細菌を除去することが重要です。口の中はどれだけきれいにしても雑菌がいるため、ラバーダムにより口の中と歯の中を分けることが重要です。また歯の中を洗浄する薬剤は粘膜にダメージを与えてしまうため、それが漏れないようにする目的もあります。

歯の中は、ステンレスやチタンの合金でできた細いドリル(ファイル)で削りながら感染が起きている歯の中の組織や細菌を除去し、削ったあとは中を洗浄します。切削と洗浄を繰り返して細菌を除去し、きれいになったら詰め物を入れていきます。

シーラーと呼ばれる細菌を封じ込めるための薬剤を根管内に塗布し、ガッタパーチャー(ゴム製の棒)を挿入します。余分なガッタパーチャーを除去し、歯科用レジン(光で固まるプラスチック)を入れて歯の中を満たし、歯の形を整えます。以上で施術は

手術が終わり、全身麻酔から目を覚ましたあとは2~3時間ほど病院で安静にして過ごし、明らかな異常がなければ帰宅という流れになります。2週間後に歯の状態を確認し、3か月ごとに歯のレントゲンを撮影します。1年間治療後に問題がなければ治療終了としています。ヒトにおいては数年単位で変化がみられることがあるので、1年に1回の歯石除去の際に歯科レントゲンが撮影するとより良いと考えます。

使用する設備

歯科レントゲン

犬猫の歯科治療には必須の設備です。通常のレントゲンよりも画素数が多く口腔の詳細まで確認できるレントゲンで、歯の神経の状態や歯周病の進行状況を確認することができます。これにより適切に歯と歯茎、それを支える歯槽骨の状況を把握することができ、抜歯が必要かそれとも歯を残した治療を行うことが可能かを選択することができるようになります。

マイクロスコープ顕微鏡

肉眼では確認できないレベルの細かい歯石が確認できるため、歯一本一本を丁寧にクリーニングすることが可能となります。元々は人間の眼科や脳外科での治療に使われていた設備を口腔用に改良したもので、丁寧で細かいクリーニングが可能になるだけでなく、周囲の組織を余計に傷つけることなく処置することも可能です。マイクロスコープは人間の歯科でも導入院数が少ない設備であり、動物病院においてはさらに少数の病院のみが使用している設備です。しかし、使いこなせれば治療効果を最大限に向上させることが期待できるため、KINSWITH動物病院では積極的に導入し施術に当たっています。

エンドモーター/ニッケルチタンファイル

歯髄を取り除く際に使用する器具です。ファイルで細い根管を少しずつ削って太くすることで、洗浄液がおくまで届くようにすることができます。手動で行うより も圧倒的に作業時間を短縮することができます。これにより、麻酔下にある時間を短縮することができ愛犬・愛猫へ の負担をさらに小さくすることが可能です。歯の中を切削する際、機械の先端にはニッケルチタン製のファイルを使用します。ステンレス製の手用ファイルを主に使っている病院様もありますが、曲がった根管を正常な形に添って拡大するにはニッケルチタン製の方がよいという論文があります。。きれいに形に添って拡大することは治療の質を高めることにつながります。

超音波洗浄器/eddy

根管治療、歯冠修復術に使用する機器で歯の根の内部を洗浄する際に使用します。歯の中でシリコン製のチップが超音波新藤することで内部組織や炎症部位を隅々まで洗い流すことにより、より治り の早い治療効果の高い施術を行うことが可能です。

施術費用

術前検査と合わせ、おおよそ150,000円~300,000円ほどとなります。

費用は折れた歯の箇所や状態によって変動します。例えば「歯冠修復のみ」の治療であれば比較的費用は小さくなります。また、犬歯と奥歯では施術費用が異なることや、多くのケースでクリーニングとして一緒に歯石取りを実施するため金額に変動があります。

歯冠修復・抜髄根管治療破折は破折という”ケガ”に対する治療となりますので、​​お支払いの際には加入されているペット保険が適用できる場合があります。加入されている保険により適用条件が異なりますので、事前に保険会社さんへ確認を取ることが重要です。

よくある質問

Q:抜髄根管治療の要・不要はどのように判断しますか?

A:破折が起きた断面について、神経が露出しているか否かで判断します。歯の折れた部分が少なく神経が露出していない場合は抜髄根管治療は不要で、歯冠修復のみで治療を実施する場合があります。また麻酔後の歯科レントゲンで歯根の病気を見つけた場合も、抜髄根管治療が適応になるケースがあります。

Q:KINSWITH動物病院の施術は他の病院の施術と何が違いますか?

A:まずは施術で目指すところが異なるケースが多いです。各トラブルに対する治療の中で、できるだけ抜歯を行わず歯を残すことを目指して施術を行います。また、そうした施術を行うために必要な特別な機器を導入しているところも違いの一つです。

Q:歯が折れていることに気づいたのですが、いつ折れたか分かりません。これは抜歯が必要ですか?

A:折れた歯は抜歯による治療が一般的ではありますが、歯を残せる可能性もあります。これは、折れ方と歯の状態によって判断します。折れてから時間が経てば経つほど周辺組織の炎症リスクは高くなるため、歯が折れた際は急いで動物病院を受診することが必要です。とはいえ、歯が折れたことに気づくまで時間がかかることは珍しいことではありません。抜歯の要・不要は外見では分かりづらいため、気づき次第急いで病院を受診することをおすすめします。

Q:老犬の治療も可能ですか?

A:通常の施術と同様に、術前検査を綿密に行い全身麻酔を行うことができると判断されれば麻酔による施術を行います。もし麻酔を実施することが難しいと判断された場合は、トラブルによって引き起こされている症状を緩和するケアを実施します。例えば、炎症が進んでいる場合は食事を噛むときに痛みが出ますので、炎症を抑えて痛みを取り除き、いつも通りの食事ができるようになることを目指したお薬による治療などを行います。

この治療を受けるには

KINS WITH 動物病院二子玉川院 岡田院長
破折の治療を担当する先生
KINS WITH動物病院 二子玉川院
院長 岡田純一

東京都世田谷区 玉川3丁目15-13
EXPARK二子玉川 1階
電話番号:03-6447-9230

KINS WITH動物病院、院長の岡田純一です。当院では愛犬さん、愛猫さん、ご家族の抱えるトラブルに対し、症状をなくすことはもちろん、なるべく根本から解決することを目指しています。 高性能な機器を用いた安全で正確な処置はもちろん、常在菌に着目したアプローチや、お家での生活に対するアドバイスまで丁寧に対応致します。 もちろん手技の技術を向上させるための鍛錬も日々欠かさず行なっております。 愛犬さん、愛猫さんとご家族が元気いっぱいで幸せな時間をなるべく長く過ごすお手伝いができるよう、努めて参ります。よろしくお願い致します。