【猫の麻酔】概要や注意点、家での過ごし方について
- 猫
- 治療
- その他
ねこちゃんにも私たち人間と同じように歯石がつきます。歯石がついてしまい除去をせずにいると、歯周病などの問題に繋がってしまいます。
今回の記事では、ねこちゃんの歯垢を放置した結果歯石となってしまった場合どうなるか、どのように治療を進めるか、適切な対処法などについて解説していきます。
▼KINSWITH動物病院での歯石取りの流れはこちらでご紹介しています
私たち人間と同じようにねこちゃんにも歯石がつきます。歯石がどのように出来るか、その流れも人間と似ています。
歯石が出来てしまう流れとしては、まず食事の後数時間で歯垢(プラーク)と呼ばれる粘着性の物質が形成されます。これを落とさないと、24時間以内に唾液に含まれる塩と結合し硬化し始めます。この歯垢(プラーク)が蓄積して硬化し続けると、最終的に「歯石」に変わります。歯石はごつごつと荒い造りで、小さな穴がたくさん開いています。歯の表面だけでなく歯周ポケットと呼ばれる歯茎の内側にもついてしまうことがあります。
歯磨きやデンタルおやつで対策できるのは歯垢(プラーク)の状態で、「歯石」になってしまうと歯磨きやデンタルおやつなどでは落とすことが出来ません。
歯石は歯の表面にも出来るのと、歯茎の内部にも出来るため私たちの肉眼では全貌を確認できないことがあります。
ねこちゃんに歯石がついてしまったら、蓄積するとさらに歯周病になってしまい歯を失うケースもあるため、歯石は除去しないといけません。ねこちゃんの歯石はどのように除去していくのでしょうか。
歯石がねこちゃんの歯の表面についていることに気付いた場合、まずは獣医師にかかり診断を受けましょう。歯石取りが必要なのか含め判断していきます。
また、歯石取りを行う間はねこちゃんは全身麻酔を受けることになります。そのため、ねこちゃんが全身麻酔に耐えられる健康状態なのかも併せて診ていきます。
心臓や腹部の検査、肝臓や腎臓に異常がないかの検査、血液検査も行うことがあります。
無事麻酔をかけても体に問題が無さそうであれば全身麻酔下で徹底的に口内を調べ、歯石の付着状態を調べます。その後、全ての歯の状態を専用レントゲンで調べます。
口内を確認しカルテに記載した後は、全身麻酔下で歯石を取っていきます。
ハンドスケーラーと超音波スケーラーを使用し、歯や歯茎の表面と内部の歯石を取り除いていきます。
歯茎の内部(歯周ポケット内)の歯石は、歯周病の最大の原因になるため、除去することが重要です。
歯周病が進行してしまっていると、酷く炎症した歯を残せないことがあり、それらの歯については抜歯が必要です。
スケーリングが終わった後は、専用の器具により歯の表面を研磨します。
歯石取り(スケーリング)を行った後、大体6時間程度からまた新しい歯垢や歯石が付き始めます。そのため、在宅での歯磨きケアは必須です。獣医師と相談の上、歯石取りを行った後も歯磨きやデンタル製品を活用し歯垢・歯石対策を行っていきましょう。
▼KINSWITH動物病院での歯石取りの流れを見てみる
大人しくて穏やかなねこちゃんだと、歯に蓄積した歯石の一部を自分で器具などを用い除去することに成功するかもしれませんが、自分で行うことは絶対にやめましょう。
歯石除去のためのスケーラーなどもインターネットで手軽に手に入りますが、危険だからという理由以外でも自分で行わない方が良い理由があります。
・目に見える歯石を除去して成功したつもりでも歯茎の中に歯石がある場合があります。こういった場合は肉眼で確認も出来ず麻酔下でないと除去できないため、歯周病の原因になりやすいです。
・全身麻酔をしておらず意識があるねこちゃんの口内を適切にクリーニングすることは、不意なねこちゃんの動きにより器具が患部以外の箇所や目を傷つける可能性もあり、危険です。
・歯の表面のツルツルしているエナメル質の層が器具を使うことにより微細な傷がつき、雑菌が付着しさらに歯石が付きやすくなることがあります。
メリットよりもデメリットがはるかに大きくなってしまうので、歯石取りは必ず病院で行うようにしましょう!
歯石の蓄積の兆候が見られたら、全身麻酔下での定期的な歯石取り(スケーリング)を行うのがお勧めです。頻度の目安は半年から1年に1度程度です。
高齢のねこちゃんについては全身麻酔をかけての施術を行えるのは10~15歳位までですが、ねこちゃんの体調によっても変わってきます。高齢の猫ちゃんの歯石取りを検討されている場合は獣医師に相談してみてください。
歯石とりのみの費用でいえば5〜6万円。加えて麻酔をはじめとして術前検査や歯科レントゲンなどを含めると基本的に10万円程度になるケースが多いです。
歯石取り(スケーリング)を行った後もそうですが、やはり歯垢や歯石が蓄積しないようにすることが大切です。おやつやスプレーなど昨今開発されているデンタル用の製品を使ったり、ペット用の歯磨き粉と歯ブラシ(または綿棒等)を使ってねこちゃんの歯を磨いてあげましょう。歯磨きの方法やお家のねこちゃんにどんな方法があるかなど、お気軽に獣医師に相談してみてくださいね。
KINS WITH動物病院、院長の岡田純一です。当院では愛犬さん、愛猫さん、ご家族の抱えるトラブルに対し、症状をなくすことはもちろん、なるべく根本から解決することを目指しています。
高性能な機器を用いた安全で正確な処置はもちろん、常在菌に着目したアプローチや、お家での生活に対するアドバイスまで丁寧に対応致します。
もちろん手技の技術を向上させるための鍛錬も日々欠かさず行なっております。
愛犬さん、愛猫さんとご家族が元気いっぱいで幸せな時間をなるべく長く過ごすお手伝いができるよう、努めて参ります。よろしくお願い致します。