猫の歯肉口内炎|口が赤くて、食べているけど、痛くて食べにくそうなケース

猫の歯肉口内炎|口が赤くて、食べているけど、痛くて食べにくそうなケースのサムネイル画像

監修した先生

岡田 純一 先生(KINS WITH 動物病院 院長)の画像
岡田 純一 先生
KINS WITH 動物病院 院長
KINS WITH 動物病院二子玉川院
記事の内容を担当した病院
二子玉川院

歯科専従の獣医師と専用の設備を備え、一般的な歯科治療に加え難症例や歯を抜かない治療方法にも対応。加えて愛犬愛猫の歯磨きトレーニングの手順や定期メンテナンスについてもご案内しております。
東京都世田谷区 玉川3丁目15-13 EXPARK二子玉川 1階
電話番号:03-6447-9230

今回は口内炎の猫ちゃんのご紹介です。口の痛みに長期間悩まされていましたが、手術により改善できたケースです。今回は、事前にオンラインで相談してからのご来院でした。

1. 治療の概要

  • 大きさ 猫ちゃん
  • 犬種  ミックス(保護猫)
  • 年齢  歳
  • 性別  雄(去勢済)
  • 体重  4kg
  • 症状  口臭、口の痛み、食欲があるが食べにくい状態
  • 病名  歯肉口内炎、吸収病変
  • 処置  下顎犬歯と切歯以外の抜歯
  • 処置時間 2.5時間
  • 費用  約34万円(税込み)

2. 実際の症例

 2-1. ご来院時の状況

事前にオンラインでの相談があった猫ちゃんです。4~5年前から食べていると口元をかいたり、痛そうな素振りをしていたそうです。

口の中、とくに奥のほうが真っ赤に腫れていました。奥歯に歯石がたくさん付着しており、歯周病も認められます。また、右上の犬歯を見ると、歯茎部(歯の根本あたり)が破壊されており、歯肉(歯茎)や歯槽粘膜(歯肉の上の硬くない粘膜)が炎症を起こしていました。

上の前歯も本来は6本ですが、2本足りない状態です。猫ちゃんは折れていることが多く、確認のためにレントゲン検査が必要でした。

写真は麻酔をかけた時のものです。

2-2. 検査結果と治療方針

炎症の様子から尾側口内炎と歯周病を疑い、全身麻酔をかけ、検査と治療をすることにしました。
上顎の前歯のない部分はレントゲン上で歯根が残っており、破折していることがわかりました。事前に飼主様と相談した際には、全ての歯を抜歯する方針でした。しかし、下顎の前歯から犬歯の炎症が思ったより軽度なので、一旦温存してスケーリングなどのメンテナンスを実施しました。他の歯は全て抜歯しました。上顎の犬歯も温存できるとより良かったのですが、レントゲン検査において歯根が吸収されていたため、抜歯することにしました。

1番外側の歯(第三切歯=103,203)が折れて、残根(歯根が残っている状態)していました。

左が他の猫ちゃん、 右は今回の猫ちゃんです。
歯根が破壊され、骨との境界線がよくわからない状態です。

2-3. 治療の流れ

 痛みを軽減するために、局所麻酔を神経付近に投与します。その後、レントゲンを撮影して、抜歯やスケーリングの処置にうつります。今回のケースでは、歯と顎骨が癒着していたため、しっかりと歯の周囲の骨を削る必要がありました。そのため奥歯の歯肉の炎症がなるべくない部分を残して歯肉を剥離・歯槽骨を削って抜歯を行いました。上顎の犬歯や折れた切歯も同様に歯肉を剥離して顎骨を一部切削し、抜歯しました。残すことにした下顎の犬歯と切歯は綺麗にスケーリングとポリッシングを行いました。

2-4. 術後結果

今回は、手術中に飼主様と電話で相談し、下顎の犬歯と前歯を温存して、それ以外の歯の抜歯を行いました。術後は抗生剤治療を投与して炎症の改善具合を確認し、必要に応じてサプリメントや薬の処方を行い、治療を継続します。

3. 治療後の経過

2週間後に術後再診にきてもらいました。当院では術後4日間、抗生剤と鎮痛薬を処方していますが、お薬が切れたあたりは痛みがあったようです。

その後は改善し、食事の時に口を気にするしぐさが一切なくなり、食欲元気ともに回復傾向とのことでした。しばらく調子が良かったのですが、1か月程度たって流涎症状が再発しました。食欲元気はあったのですが、ステロイド剤と乳酸菌サプリメントの投与を開始しました。

術後3か月の時点で、まだ発赤、のどの奥の粘膜の腫れが残っていますが、流涎など症状は改善しました。

術後約8か月の時点では、ほとんど赤みがない状態まで改善することができました。

4. 担当獣医師からの一言

今回はセカンドオピニオンで来院した口内炎の猫ちゃんの全臼歯抜歯をご紹介しました。ねこちゃんの全臼歯抜歯・全額抜歯は時間のかかる手術であり、抜き残しがあると改善しないことがあります。

一般的には全部の歯を抜歯するのが推奨されますが、牙が残っていた方が生活しやすいと考えているため、まずは全臼歯抜歯をして経過を見ることがあります。今回の猫ちゃんはサプリメントとステロイドをうまく使うことで、牙を残しつつ改善させてあげることができました。

口内炎は、比較的若いねこちゃんで発生することが多く、なかなか治りにくい病気です。口が真っ赤で、ご飯を食べにくそうな猫ちゃんは、体重が減少したり、弱ってしまう前に、早めに治療を受けるようにしてください。

KINS WITH 動物病院二子玉川院 岡田院長
歯周病の治療を担当する先生
KINS WITH動物病院 二子玉川院
院長 岡田純一

東京都世田谷区 玉川3丁目15-13
EXPARK二子玉川 1階
電話番号:03-6447-9230

KINS WITH動物病院、院長の岡田純一です。当院では愛犬さん、愛猫さん、ご家族の抱えるトラブルに対し、症状をなくすことはもちろん、なるべく根本から解決することを目指しています。 高性能な機器を用いた安全で正確な処置はもちろん、常在菌に着目したアプローチや、お家での生活に対するアドバイスまで丁寧に対応致します。 もちろん手技の技術を向上させるための鍛錬も日々欠かさず行なっております。 愛犬さん、愛猫さんとご家族が元気いっぱいで幸せな時間をなるべく長く過ごすお手伝いができるよう、努めて参ります。よろしくお願い致します。