【猫の麻酔】概要や注意点、家での過ごし方について
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猫を撫でていたら毛に何かついているのを見つけた!なんてことがあったら…
少し考えるとゾッとしてしまいますね。実は暖かくなって天気が良くなってくると、寄生虫達も活発になります。
猫は室内にいても、窓を開けたり人の出入りにより思わぬ寄生虫が室内に侵入してきてしまうこともあるんです。
今回は猫の皮膚トラブルを起こす寄生虫の種類や対処法などについて、紹介していきます。
猫にも寄生虫がつくことがあります。猫の寄生虫は、皮膚などにつく「外部寄生虫」と、腸内などの体の内側に寄生する「内部寄生虫」に大きく分けられます。こちらの記事では、主に猫の皮膚トラブルの原因となる外部寄生虫について解説をしていきます。
猫は、さまざまな寄生虫に感染する可能性があり、その中には皮膚トラブルを起こすものもあります。今回は、猫の皮膚トラブルの原因となる代表的な寄生虫についてご紹介します。
猫の寄生虫は、ざっくり分けると以下の二つがあります。
中でも、皮膚の健康に影響を及ぼす寄生虫の多くは「外部寄生虫」となります。ここでは外部寄生虫の一部について、種類と特徴をご紹介します。
ねこに皮膚トラブルを起こすネコノミは、猫だけでなく犬にも感染し、吸血します。多くは一次的な赤みや痒み行動を伴う皮膚炎(ノミ刺症)で終わりますが、一部はノミの唾液にアレルギー反応を起こし強い痒みを伴う「ノミアレルギー性皮膚炎」になることもあります。
背中から腰にかけて赤みやブツブツ、かさぶたなどの症状が出ることが多く、大量に寄生していると、体表に黒いゴマ粒のようなノミ糞がみつかるようになります。
ダニの多くは落ち葉や動物の死骸を分解する益虫ですが、一部はヒトやペットに危害を与える害虫です。
ダニはとても種類が多いですが、猫に皮膚で問題になるのは、大型の「マダニ」です。
マダニに咬まれることで起こる痒みや皮膚炎が一般的ですが、重度に寄生されると貧血になることもあります。また、マダニの本来の怖さは、猫を介したヒトへの感染症です。ヒトへの感染に関しては後半でご紹介します。
マダニの特徴
マダニが猫に寄生した時の対応
吸血前で歩いている場合は「お薬での駆虫」を。マダニが吸血前の状態であれば容易に除去が可能です。経口(食べる)タイプとスポット(垂らし剤)タイプの二種類があります。
吸血を既に行っている場合は、簡単に取れないケースがあります。基本的には病院へお越しください。ダニ取り専用ピンセットなどもありますが、自己処理により皮膚状態を悪化させる可能性もあるので注意が必要です。また、うまく自己処理できても感染症に罹っている恐れもあるので、一度健康確認はしてもらう方が良いでしょう。
ヒゼンダニ(猫小穿孔疥癬虫)は、皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生します。皮膚疾患の中でもトップクラスの非常に強い痒みを伴う皮膚疾患で、感染力も高く、主に猫同士の接触により伝播し、ヒトにも皮膚トラブルを起こすことがあります。
ヒゼンダニは、特に耳、顔周囲、四肢などに非常に強い痒みを伴う、疥癬(かいせん)という皮膚疾患の原因となります。皮膚を掻き壊すほどの痒みをもたらし、治療をしないと二次感染を起こし、悪循環に陥ることがあります。
耳ヒゼンダニは、主に耳道内に寄生する寄生虫です。ミミヒゼンダニが原因となる皮膚疾患を、耳疥癬(みみかいせん)や耳ダニ症と呼び、耳付近をしきり掻いたり、頭を振ったり、痒みを伴うまっ黒な耳垢が目立つようになります。時に、全身にも皮膚病変を認めることがあります。
ツメダニは、皮膚表面に生息し、虫卵は被毛に付着します。伝播力が非常に赤く、ヒトに伝播することもあります。猫ではかゆみの程度は様々ですが、背中のフケが代表的な症状と言われています。
毛包中は私たちヒトを含むほとんどの哺乳類に生息している寄生虫であり、猫たちにも同様に生息しています。なんらかの原因により数が増えすぎてしまうと皮膚に炎症を起こす可能性があります。
猫に寄生するシラミの多くは、1〜1.5mm程度のネコハジラミです。
被毛に寄生して、卵を産みながら、徐々に増えていき、白い粒や動くフケのようなものが、被毛で確認されるようになります。吸血することはなく、皮膚のフケなどを食べて生活しています。
症状は様々で、強いふけ感、脂っぽい地肌(脂漏感)、被毛が荒い、脱毛、地肌のブツブツ(丘疹)、かさぶたなど多くの種類の症状が現れます。一方で痒みは少ないことが多いようです(重症寄生だと強く出ることもある)
ほとんどの場合、感染猫との接触で感染します。主に屋外へ出る猫や、保護猫・子猫、免疫力が落ちた高齢の猫の感染が比較的多いといわれています。シラミは、宿主特異性(決まった動物、人に寄生する性質)が高いため、ネコハジラミがヒトに感染することはありません。
かゆみの程度は様々で、被毛に虫体がついているのみのこともあれば、丘疹などの皮膚症状がみられることがあります。
基本的には、皮膚検査で寄生虫体やその虫卵、糞などの存在を確認することで診断します。
虫体の存在を確認できない場合は、皮膚状態だけでなく、痒みや皮膚症状が現れた時期、駆虫薬の予防歴、年齢、ご家族の皮疹などの情報を総合的に判断して、仮診断することもあります。
スポット剤(垂らし剤)が主流(一部の寄生虫に対しては、効能外使用)
多くは、適切な治療により、予後は良好。
多頭飼育の場合は、再発や感染拡大予防のためにも、すべての個体に駆虫薬を推奨することもあります。
痒みによる引っかき傷などに細菌などの二次的な感染を起こしている場合は、皮膚の状態の改善のために、抗生剤の内服や外用薬による治療を実施することもあります。
二次的な外傷を防いだり、精神的な苦痛を和らげるために、痒み止めを使用することもあります。
治療反応は良く、治療開始から1−2ヶ月で良化する場合が多いです。また、再度の感染が起きないよう、後述する予防を徹底することが大切です。
寄生虫の感染を予防するためには、感染経路を断つことが大切です。また、寄生虫が発生しやすい状況を回避したり、定期的に動物病院で予防薬を処方してもらうことも有効です。飼い主さま自身も普段の生活の中で少し意識を向けると、新たな感染を防ぐことができるかもしれません。
寄生虫はほとんどの場合、感染猫との接触で感染します。
外猫や屋外にでる猫との接触は、仮に窓の網戸越しであってもしないようにしましょう。すでに猫を飼われている方で、新たに猫を迎え入れる場合は、すべての個体に予防を徹底しておくことも大切です。
おうちの外で甘えてくる猫を見つけると、ついつい触りたくなってしまうかと思いますが、注意が必要です。
接触後に、衣服などを介して寄生虫体を室内に持ち帰ってしまうこともあります。
頭や耳を中心にフケやカサブタなどの皮膚病変がある野良猫には、不用意に接触しないようにしましょう。
駆虫薬により、寄生虫体を体につけない、屋内で増やさないことで、寄生虫による皮膚トラブルを防ぐとこができます。
ただ、市販薬では効果が不十分であったり、寄生虫でも薬剤に耐性をもっているものも報告されているので、病院で相談してから処方してもらうようにしましょう。
ノミの繁殖には、温度(20~30℃)や湿度(70%以下)が大切であるとされているため、夏~秋にかけて繁殖が活発になります。
こまめなお掃除や拭き掃除を心がけることで、寄生虫が増えにくい環境作りをするように心がける。
猫の寝床もノミにとっては心地よい環境で繁殖に適した場所になりやすいです。
猫の寝床周りのお掃除やベッドやクッションの洗濯乾燥を定期的にするようにしましょう。
念入りにしたい方は、ノミは35℃以上で死滅すると言われていますので、洗濯乾燥機や布団乾燥機、コインランドリーなどを利用することもおすすめです。
猫は自分で毛づくろいしているから、皮膚のケアは本人におまかせ。と思いたくもなりますが、飼い主さんも協力することで、さらによりよい被毛状態を維持することもできます。
日ごろから身体に触れる機会や被毛ケアを習慣づけておくことで、皮膚状態だけでなく、身体に問題が起きても早期に気付くことができます。
コームタイプが苦手な子には、手袋タイプのコームもおすすめです。
毛玉予防や皮膚のマッサージをして、スキンシップづくりにチャレンジしてみませんか。
寄生虫を原因とした感染症の一部には、ヒトへと移るものがあります。そのため、寄生虫による症状が現れている愛猫と接する際には細心の注意を払うことが大切です。もし治療を進める中で飼い主さま自身に違和感が現れた場合は、すぐに病院を受診ください。以下に、猫に寄生する外部寄生虫がヒトに寄生する例や、寄生虫から猫を媒介してヒトへ感染する感染症の例をご紹介します。
私たち人間の体に猫のヒゼンダニがうつると、繁殖ができないため増えることはなくいずれ死んでしまいます。しかし人間も同じく激しい痒みが起こり、皮膚に発疹が出てきます。症状は一過性で自然に治ることがほとんどですが、症状が長引くようであれば、念のため皮膚科を受診してください。
ノミが人を吸血したあと、ノミの唾液などにより強いかゆみを生じます。肌に赤い斑点や丘疹ができる。まれに、結節・水疱・血疱などもみられることも。
ノミが保有するバルトネラ菌が、猫の爪や口腔内を経由し、猫にひっかかれたり、噛まれたりすることで人に感染します。
猫は無症状ですが、感染猫に人間がひっかかれたり咬まれたりすると、人はリンパ節が腫れて発熱や頭痛を起こすことがあります。
SFTS V(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)を保有したマダニが猫を介して人へ感染します。致死率が高く危険な疾患です。
ボレリアBorrelia という細菌(スピロヘータ)によって引き起こされ、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身倦怠感といった、インフルエンザのときのような症状を伴います。
病原体が全身に拡散するに伴い皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎などの症状もみられるようになることもあります。 ※スピロヘータとは糸状・らせん状の微生物。
猫は毛づくろいをよく行うため、寄生虫を舐めとってしまっていることも多々あります。そのため、目視ではなく専門的な検査を行い寄生虫を見つけることが一般的です。
皮膚の寄生虫疾患かどうか鑑別するための検査は、いくつか種類があります。また、寄生虫の種類が特定できるまでは、他の寄生虫や糸状菌などの感染症の可能性も考慮し、複数の検査を行う場合があります。
皮膚状態に応じて、簡単な検査のみで診断できるものから順に複数の検査を実施し、総合的に診断を進めていく場合もあります。
検査により、皮膚トラブルを起こしている寄生虫の種類が確定する、あるいは、予想がついた場合は、その種類ごとに合わせた治療法により寄生虫を駆虫していきます。
また合わせて、上述の通り寄生虫や感染症の種類によっては、再感染や人への感染の可能性もあるので、環境整備(環境治療)が必要になることがあります。
寄生虫による感染症は、治療そのものが大掛かりになるケースは少ないです。一方で、感染の元を断つと言う意味では気長に付き合うことが必要な場合があります。
KINSWITH動物病院でも治療はもちろんですが、再感染を防ぐための環境整備までしっかりとご案内させていただきますので、皮膚の違和感にお気づきの際はぜひ一度ご相談ください。
皮膚のお悩みの原因は、複合的なことが多く、特定が難しいことがあります。そこで当院では、皮膚病理検査やアレルギー検査など皮膚の専門的な検査を行うことで、根拠を持って治療方針をご提示いたします。
多数の皮膚科診療経験があるため、適切な診断ができ、皮膚病に悩む愛犬・愛猫に最適な治療法をご提案いたします。