【猫の麻酔】概要や注意点、家での過ごし方について
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ねこちゃんの歯ってとても強そうですよね。丈夫そうに見えますが、時には折れてしまったり欠けや割れが生じることもあるんです。
実際にねこちゃんの歯が折れてしまったらとても驚かれると思いますが、そんな時はどうしたら良いか、どんな時に起こるのか、予防のことなども含め詳しく解説していきます。
ねこちゃんが高い所から飛び降りたり、ねこちゃん同士で喧嘩したり、硬いものを噛むなどすると歯が折れることがあります。一般的にはわんちゃんの場合は硬いものを噛むことで、ねこちゃんの場合は喧嘩や衝撃を受けることで起こることが多いです。ちなみにねこちゃんやわんちゃんの歯が折れてしまったり、欠けてしまったりすることを歯折(はせつ)と言います。
ねこちゃんの顎の上下に4本、鋭く長い牙のような歯がありますよね。ここは犬歯と呼びますが、この歯が折れてしまったり損傷を受けることが多いです。
真ん中から折れてしまうこともあれば、先端だけ欠けてしまうこともあります。
万が一折れや欠けが生じてしまった場合どうしたら良いか、見ていきましょう!
ねこちゃんの歯が折れたり、欠けたりしてしまっていることに気付いた場合は、出来るだけ早めに病院に連れていき獣医師の診察を受けてください。
その際に、どのような状況でいつ頃損傷が起こったかなどを獣医師に聞かれることがあるかと思いますが、どのような治療をしていけば良いか判断するのに役立つため、出来るだけ詳細をお話いただけたらと思います。
折れたり欠けたりした歯の一部が手元にある場合は、必ず捨ててしまわずに一緒に病院に持っていきましょう。折れた歯を繋ぐことは残念ながら難しいですが、診療に役立つ可能性があります。
ねこちゃんの歯折が起こり、血が出ている場合は歯の内部の神経(歯髄)が損傷してしまっている可能性が高いため、すぐに病院に連れていく必要があります。
治療の方法や重症度も、神経が損傷を受けている場合と、そうでない場合とで全く異なってきます。当然のことながら、神経を損傷してしまっている場合は根本的な治療が必要になり、そうでない場合と比べて重症度が高いです。
真ん中から深く折れてしまっている場合や、先端が欠けてしまっている場合など、歯折の仕方も様々です。折れてしまっていて神経が損傷している場合はかなりの痛みを伴いますし、先端のみ欠けてしまっている場合でも歯の表面のエナメル質が削れて象牙質という小さな穴が開いている所が露出すると温度や圧力に敏感になります。人間の虫歯の時と似たように、熱さや冷たさ、圧力に対して痛みを感じたり過敏になる感じですね。
ねこちゃんの歯の表面のエナメル質は比較的薄いことから、単なる先端の欠けや割れ、ヒビなどに見えても注意が必要です。
そして神経が露出してしまっている場合は、さらに悪い状態です。神経が露出している場合は折れた歯の真ん中にピンクや黒、茶の斑点のような神経が見えることがあります。
歯の内部の神経に細菌が充満し、最終的には歯根の開口部から顎に細菌がなだれ込みます。時間が経つと歯の内部からの細菌が広がり、ねこちゃんが噛むたびに局所的に激しい痛みを感じたり、体のその他の部分まで細菌感染を起こしてしまうことがあります。
折れないケースで、衝撃などを受けた後歯が変色していくケースもあります。この場合、歯が機能を失っている可能性があります。この場合も神経が露出されている場合と同じで細菌感染を起こし体の他の部分まで細菌が広がってしまうことがあります。
ねこちゃんの歯が折れている疑いがあるのに変わった様子が見られない場合もあるのですが、この場合は神経がすでに死んでいる可能性もあるので注意です。体の免疫系等により感染を上手く防いでおり、外見上の症状が隠れている状態です。
損傷した神経が完全に死んでしまうまで数週間から数ヵ月かかることがあるのですが、この間全く変わった素振りを見せないねこちゃんもいます。
ねこちゃんが歯折を起こし辛い思いをしているとしたら、私たちは出来るだけ早く異常に気付いてあげたいものですよね。
以下にねこちゃんの歯折に私たちが気付くためのサインをまとめました。
・食事の際に片側で噛んでいる
・食事中に食べ物をこぼしている
・硬い食べ物やおやつを食べない
・過度によだれがでている
・歯ぎしりをしている
・顔のむくみ
・リンパが腫れている
・口から血が出ている
・口元を気にする仕草を見せる
・顔を撫でようとすると拒否する
・硬いおもちゃで遊ばなくなる
・顔を擦るようになる
・頭を床や壁に擦る
・部屋の隅や物陰に隠れるようになる
ちなみに、ねこちゃんは野生の時の習性から痛みや異変を隠すことが多いです。
これは野生の時に痛みや弱さを見せてしまったら敵に狙われてしまうからであり、その名残が残っているためです。そのため、ねこちゃんが痛みを感じている素振りを飼い主さんに見せないことも多いです。
そのような背景はありますが、出来るだけこれらのサインを発していたら早めに気付いて対処してあげたいところです。
ねこちゃんの歯が歯折を起こしてしまった際の治療方法は重傷度やねこちゃんの年齢によっても変わってきますが、大きく分けて4つあります。
一般的に折れ方として神経まで露出してしまっていたり、損傷を受けているかどうかによって治療方法も大きく変わってきます。順に見ていきましょう。
歯冠修復を行う場合があります。これは、歯が欠けておりかつ神経が露出していない場合に、露出した象牙質を保護するためにレジンで覆う処置のことを指します。
歯の内部にある感染・炎症を起こしている神経組織を取り除きます。
私たち人間と同じように歯の周囲のレントゲンを行い歯根が無傷であるかを確認し、無傷だった場合神経だけ取り除いていきます。
将来的な細菌感染を防ぎ歯を残すために、器具を使って洗浄し消毒を行い、神経を取った穴を埋めていきます。
治療後は定期的に歯科レントゲン撮影などメンテナンスが必要になります。
これは簡単に言うと歯と神経を残す治療です。感染・炎症を起こしている神経だけを取り除きます。
歯と神経どちらも残せて、根管治療をせずに済むことが最大のメリットです。
将来的には、根管治療が必要になる場合もありそこは注意点として挙げられます。根幹治療と同様に、治療後は定期的に歯科レントゲン撮影などメンテナンスが必要になります。
歯を全て取り除いてしまいます。
破折の多くは犬歯や大臼歯に発生しますが、これらを抜歯する際には歯を分割したり、顎骨を切削する必要があります。
▼KINS WITH 動物病院での抜歯の流れを見てみる
ねこちゃんが噛んでいるものを注意深く観察して、硬いものがありそうな場合はそれらを撤去してください。「硬いもの」の基準は「ハサミで切れるかどうか」を一つの目安としてご判断いただければと思います。
もしそれが難しそうであれば、ペットに害のない忌避剤などがありますのでそちらをスプレーするなどしてねこちゃんが噛まないようにする方法もあります。
屋外で喧嘩や交通事故などで歯折を起こしてしまいそうなねこちゃんの場合は、屋内での飼育をおすすめします。
KINS WITH動物病院、院長の岡田純一です。当院では愛犬さん、愛猫さん、ご家族の抱えるトラブルに対し、症状をなくすことはもちろん、なるべく根本から解決することを目指しています。
高性能な機器を用いた安全で正確な処置はもちろん、常在菌に着目したアプローチや、お家での生活に対するアドバイスまで丁寧に対応致します。
もちろん手技の技術を向上させるための鍛錬も日々欠かさず行なっております。
愛犬さん、愛猫さんとご家族が元気いっぱいで幸せな時間をなるべく長く過ごすお手伝いができるよう、努めて参ります。よろしくお願い致します。