【猫の麻酔】概要や注意点、家での過ごし方について
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疥癬とは「ヒゼンダニ」というダニによって引き起こされる皮膚病です。痒みが強く、猫ちゃんにとってもとても辛い症状で、治療しなければ全身にすぐ広がってしまいます。また非常に伝染性が高く、ペット間で広がる可能性があるため猫ちゃんの異変を感じたら早めに対処することが大切です。
猫の疥癬は、耳の先端にかさぶたができたり皮膚がうろこ状(カサカサ)になったり皮膚が厚くなったりすることが初期症状として現れます。だんだんと痒みが激しくなり、皮膚の剥離(フケ)、脱毛、炎症が見られるようになります。激しい痒みにより掻きむしってしまい、患部が傷ついて出血してしまったり、化膿してしまうことも。最初は一部の炎症だったものも、すぐに全身に広がってしまうのも疥癬の特徴の一つです。
しきりに耳や体を掻いていたりしたら、注意して見てみましょう。
また、体力のない幼猫や老猫の場合は感染したら衰弱し食欲不振になることもありますので、早めに獣医師に相談ください。
疥癬は「ヒゼンダニ」というダニが猫の皮膚に寄生することで発症します。ヒゼンダニは皮膚の角質層に穴を掘り、その中で排泄及び産卵をします。そのヒゼンダニや糞便などに対してアレルギー反応を起こすことが原因で、激しい痒みや皮膚炎が起こってしまうのです。
ヒゼンダニはすでに疥癬に感染した個体との接触によって簡単に付着し、伝染を続けていきます。
疥癬に感染してから発症するまでの潜伏期間は2~6週間と言われていますが、体から落ちるとヒゼンダニは数日で死亡します。
お家に何頭も猫がいる場合など、直接の接触がなくとも、タオルやブラシなどを共有することで感染が広がることも。疥癬の兆候や症状がなくてもすべての猫を治療すること、生活環境を清潔にすること、外の猫との接触を避けることがとても大切です。
疥癬が疑われる猫ちゃんの患部の皮膚をこすり取り、顕微鏡でサンプルを調べることで感染しているかどうかの判断が行われます。
治療法については、まず猫ちゃんに寄生しているヒゼンダニの駆除が最優先。
駆除方法には、注射や飲み薬、外用薬などで投薬治療を行っていきます。
代表的なお薬について、次のようなものがあります。
・イミダクロプリド・モキシデクチン合剤(アドボケート)
フィラリア予防、ノミ、耳ダニ、猫回虫、猫鈎虫の駆除が同時に行える寄生虫対策のお薬。首筋や肩甲骨に液剤を垂らすスポットタイプ。
・セラメクチン・サロラネル合剤(レボリューションプラス)
ノミ・ミミヒゼンダニ、犬糸状虫、回虫、鉤虫に加えマダニにも有効な寄生虫対策のお薬です。首筋や肩甲骨付近の皮膚に液剤を垂らして使用するスポットタイプの製剤です。
・イベルメクチン
飲み薬タイプまたは注射タイプの抗寄生虫薬。
お薬は卵には効かないため根気強く投薬を続けることが必要です。そして正しく獣医師が診察し、症状や体格に合ったお薬の種類や用量、用法を守らないと、悪化してしまったり他の病気につながる可能性も。猫ちゃんは私たち人間のように症状や辛い思いを口にすることはできません。飼い主さまには、適切な治療を行うために獣医師にご相談いただくこと、根気強く治療にご協力いただくことをどうかお願いできればと思います。
猫の疥癬の原因の項でも説明したように、ヒゼンダニに感染した個体との接触によって伝染していきます。猫から猫への感染が非常に多いのですが、犬などの他の動物や私たち人間にも感染するのでしょうか?
答えは、残念ながらYesです。
疥癬は『人獣共通感染症』なので犬や人間にもごく稀に感染することがあります。犬もヒゼンダニが皮膚に寄生することで猫と同じように発症してしまいますが、私たち人間の体に猫のヒゼンダニがうつると、繁殖ができないため増えることはなくいずれ死んでしまいます。しかし人間も同じく激しい痒みが起こり、皮膚に発疹が出てきます。症状は一過性で自然に治ることがほとんどですが、症状が長引くようであれば、念のため皮膚科を受診してください。
また、飼い主さまは疥癬になった猫ちゃんと直接皮膚が触れないように、ビニールの手袋をしたり、接触したら洗ったりするなどの予防をしましょう。
まず、疥癬が疑われる猫ちゃんの診療・治療を行います。お家に他の猫ちゃんや動物がいて接触する可能性がある場合は、これ以上ダニが広がらないように感染した猫ちゃんとは隔離するようにしてください。接触している可能性が高いので同居している動物、特に猫ちゃんは一緒に診療・治療をするようにしましょう。
隔離期間は感染の程度、感染した体の部分、伝染するダニの数、個々のペットの健康と衛生状態によって異なります。獣医師に隔離解除して良いか確認してから隔離を終了するようにしましょう。
また感染した猫ちゃんが使っていたベッドや首輪、カーペット、おもちゃにもダニが付着している可能性が高いです。ダニなら天日干しで大丈夫かも?と思われるかもしれませんが、天日干しではダニを除去することはできません。 ダニは明るい場所を嫌うため日光が当たると日光が当たらない側に逃げてしまい、死滅しません。
ヒゼンダニは60℃以上のお湯に10分以上浸すと死滅するため、熱湯消毒を行って洗濯するように。
またダニは湿度の低い環境が苦手です。使っているものをしっかり乾燥させることも大切です。
部屋は掃除機で丁寧に掃除してヒゼンダニを吸引、除去し、清潔な状態を保つように心がけましょう。
疥癬になった動物と接触しないことが一番の予防になります。
野良猫との接触により感染する可能性がありますので、室内飼いを徹底し、網戸越しであっても外の猫との接触がないように注意しましょう。
また、日頃から猫ちゃんの生活環境を清潔にするようにすることがより一層の予防になります。
当院ではノミダニの予防・駆除剤を定期的に投与することにより、疥癬などを予防することを推奨しています。予防・駆除剤は、それぞれの猫ちゃんに合った用法や用量がありますので、獣医師にご相談ください。
大切な家族の一員である猫ちゃんが疥癬でつらい思いをしないよう、日々の生活の中でぜひ予防に取り組んでいただきたいと思います。予防方法など何かお困りのこと不明なことがありましたらお気軽に動物病院にご相談くださいね。
皮膚のお悩みの原因は、複合的なことが多く、特定が難しいことがあります。そこで当院では、皮膚病理検査やアレルギー検査など皮膚の専門的な検査を行うことで、根拠を持って治療方針をご提示いたします。
多数の皮膚科診療経験があるため、適切な診断ができ、皮膚病に悩む愛犬・愛猫に最適な治療法をご提案いたします。