【猫の尿路結石】原因と症状、治療について

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「尿路結石」と聞くと人間の私たちもかかる病気であり、痛そうなイメージをお持ちの飼い主さんも多いのではないでしょうか。人間の方では三大激痛とも言われていますね。

実はねこちゃんもかかる病気です。

ねこちゃんのために私たちに何ができるのか、尿路結石とはそもそも何なのか?気になられている飼い主さんも多いと思います。こちらの記事で詳しく紹介していきます。

尿路結石の概要と症状

「尿石」としても知られる結石は、膀胱で発生するミネラルや結晶、有機物質の岩のような形成物です。大きな単一の石が出来ることもあれば、砂のような粒から砂利までのサイズの石の集まりになることもあります。これらは私たち人間にも出来ますが、ねこちゃんにも出来ます。ねこちゃんだと小さいままの場合もあれば、直径数ミリメートル以上に成長する可能性もあります。結石が膀胱の壁を擦ると炎症や痛みを引き起こすことがあります。

また、結石が尿道を塞いで排尿を困難にすることもあり、完全に詰まってしまうと尿道閉塞と呼ばれ緊急の対応が必要になります。

結石は何のミネラルで出来ているかによって形や大きさが異なるのですが、最も一般的な2タイプは「ストルトバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」です。

結石がどんなものかによって、治療方法や手術が必要なのか等も異なってきます。

またオスのねこちゃんの方が尿道が細く長いことから発生が多いです。突然発生する場合もあれば、数日または数週間にわたってゆっくりと進行する場合もあります。

原因

結石ができる明確な原因は分かっていないことが多いです。ねこちゃんの食事内容や個々の尿の酸性度のレベルも違う為、様々な要因が絡み合い結石が生じます。

・尿が酸性に傾きすぎている

・特定のタンパク質の存在

・尿中の水分含有量

これらが関わってくると言われています。

また、ねこちゃんの尿は高濃度の酸性です。特定のミネラルや、その他の物質が過剰場合、結石が出来やすいです。尿石は硬貨した中心部の周りに様々な層が形成されますが、何がきっかけで形成され始めるのかは不明です。ただ、尿中の過剰な尿石形成ミネラルが小さな結晶を形成し、それらがくっついて結石が作られていきます。結石が形成されると、数週間や数ヵ月かけて徐々にサイズが大きくなります。しかし全ての結石が大きくなるわけではなく、砂のような小さな石を形成することもあります。

ちなみに獣医師は石の構造に基づいて結石を識別します。ストルトバイト結石か、シュウ酸カルシウム結石であることが多いです。それぞれ以下の特徴があります。

ストルトバイト結石

尿が濃い、尿のPHがアルカリ性に傾いている、尿中のマグネシウムやリンが多いことなどが原因。マグネシウム、リン、カルシウム、塩化物、繊維を大量に摂取していると発生しやすくなります。

・去勢された若い雄のねこちゃんに見られることが多い。

・食事療法で処方食を食べることが出来れば溶かすことができる。

ただし、結石の大きさや愛猫の状態により手術が必要なことがあります。

シュウ酸カルシウム結石

尿が濃い、尿のPHが酸性に傾いている、尿中のカルシウムとシュウ酸が多いことなどが原因となります。

・中年~老年期のねこちゃんに見られることが多い。

・食事療法では溶けず、カテーテルや手術等で取り除く必要がある。

以前は、ストルトバイト結石の発症がはるかに多く、それを抑える為にペットフードメーカーはより酸性の食事を作りましたが、これがシュウ酸カルシウム結石の増加に繋がりました。

尿路結石に気付くまで_自己診断と初期症状

ねこちゃんの尿路結石の最も一般的な兆候は以下のものです。

・血尿

・排尿時の緊張(排尿障害と呼ばれる)

・排尿時の鳴き声

また、頻尿になる、性器を舐める、尿スプレーをする、いつもはしない場所での排尿、なども兆候として報告されています。

尿路結石の外科的除去後にはねこちゃんが活発になる事例が多くあるため、尿路結石があることにより痛みを伴うと想定されています。

結石はレントゲン検査や膀胱の超音波検査で分かります。

腹痛や、血尿、いきみを繰り返すなどの症状が見られたら獣医師の診断を受けましょう。

尿路結石の大まかな流れとしては、以下の通りです。

最初は、ねこちゃんが頻繁に排尿しようとして、細かい尿が出るか、数滴しか出ないか、まったく出ないことがあります。また、排尿しようとすると極度の痛みを感じ、泣き叫ぶことがあります。完全に尿道が閉塞し、排尿できなくなることにより、1日から2日で体内に毒素が蓄積されます。元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水などが認められ、、昏睡、約3日以内の死に至ります。尿道閉塞は緊急の状態であり、すぐに獣医師による治療を受ける必要があります。

メスのねこちゃんよりも、オスのねこちゃんは尿道が長く、詰まりやすい傾向にあります。完全に詰まってしまうと膀胱を完全に空にすることができなくなり、腹部が圧迫され非常に痛いです。閉塞が解消されないと、最悪の場合膀胱が破裂します。

予防

まず、ねこちゃんの水分摂取量を増やすことです。缶詰のウェットフードを与えたり、自動給水機を追加しいつでも新鮮な水が飲めるようにする、チキンやツナの味が少しだけするフレーバーウォーターを与えるなどして、尿が濃くならないことを意識しましょう。

尿サンプルの定期的なチェック、または膀胱の超音波検査は、問題の早期再発を検出し特別な食事や投薬が適切かどうかを判断できます。また、早期発見にも役立ちます。

もし、結石が出来てしまった場合は、病院に行くと原因が明確になります。出来た結石と出来た場所によって、それを基に今後どのように対策していけば良いかを獣医師に相談しましょう。いつでも新鮮な水を飲めるようにし、食事の相談を獣医師と行ってください。経過観察として定期的な尿検査や、レントゲンの推奨がある場合があります。

ねこちゃんに運動をさせることも有効です。

また、トイレは清潔に保ち、ねこちゃんがトイレを我慢しないようにしてあげましょう。

もし尿路結石が出来てしまったら?

治療方法

治療には、大きく2つの方法があります。

1つめの最速の治療方法としては、膀胱を切り開いて結石を取り除く手術をすることです。最も取られていることが多い治療方法で、手術後の回復も速いです。

大きな結石によって尿道が塞がれてしまっている場合は、こういった外科的な手術が必要になります。カテーテルを通すことによって閉塞を解消できる場合は、切開は必要ない場合があります。

2つめの治療方法としては、食事により石を溶かすことです。手術しなくても良いため、条件に合えば良い方法と言えます。こちらの方法の注意点としては以下の通りです。

・全ての種類の石で成功するわけではなく、一部の結石は食事療法に反応しない。

・時間がかかるため、その間血尿やいきみなどに悩まされ続ける可能性がある。溶けるのを待っているうちに尿道閉塞になるリスクがある。

・すべてのねこちゃんが療養食を食べるとは限らない。食べてくれない場合効果がない。

治療費用について

膀胱結石の治療費は、いくつかの要因によって異なります。費用を検討するときは、動物病院で獣医師に相談し、画像診断、血液検査と尿検査、検査と入院費、および手術の可能性を考慮してください。WEB上に公表されているデータの統計を見ると、中央値で140,000円ほどの費用になる場合が多いようです。

ご家族に寄り添うかかりつけ医としての一般診療

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