猫の歯の仕組みと、口臭や出血、生え変わりなどのトラブルについて

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ねこちゃんがあくびをした時や、おもちゃを捕まえようとする時など、ちらっと小さい歯が見えますね。ねこちゃんはもともと肉食動物なので、獲物を捕まえて食べる時などのために歯が鋭く発達してきました。現代ではドライフードを食べたりおもちゃで遊ぶ方がはるかに多くなっていますが、基本的な構造は変わっていません。

今日はそんなねこちゃんの歯について、ライフステージごとの変化や気になる病気についてもまとめてみました。

ねこちゃんの健康にとって大切な歯のこと、詳しく見ていきましょう!

猫の歯について

ねこちゃんの基本的な歯の構造は以下の通りです。

・歯の表面はエナメル質というツルツルした硬いコーティングになっている

・エナメル質の下に象牙質という柔らかい部分がある

・歯茎より中に埋まっている歯の部分は歯根と呼ばれ、セメント質と呼ばれる歯の組織の薄い層で覆われている

・歯の中には神経や血管から構成される歯髄という部分がある

・乳歯は26本、永久歯は30本

猫の歯の生え変わり【子猫期】

いつ生え変わる?時期は?

子猫は歯が見えない状態で生まれます。生後3週間程で乳歯が生え始め、生後6~8週間ほどで全て生えてきます。遅くとも12週齢までに乳歯が生えそろいます。子猫の乳歯は全部で26本です。

ねこちゃんの歯も私たち人間と同じように乳歯と永久歯があり、永久歯は通常3ヵ月から6ヵ月齢をめどに乳歯があった場所に生え変わります。永久歯は乳歯より4本多く、30本です。私たち人間も親知らずが生えてきて、乳歯より最終的な永久歯の方が多くなりますよね。

生え変わりで噛むことはある?

乳歯から永久歯に生え変わる時、多くのねこちゃんは口に違和感を感じて身近にあるものを噛むようになります。ねこちゃんが噛むと危ない物や噛んでほしくないものを、この時期周りからは特に避けておきましょう。口の中が痒かったり痛かったり、この時期のねこちゃんは不快感を感じています。噛んでも良いおもちゃを与えると、ねこちゃんの気も紛れて良いでしょう。

この時ねこちゃんとおもちゃで綱引きをすることはやめましょう。乳歯が折れるリスクに加え、顎に衝撃が加わることで永久歯の成長に影響が出る可能性があります。

血が出ている時は?

生え変わりにあたり、多少の血が滲むことがありますが基本的に心配は無用です。ただし、明らかに量が多い出血が起きている場合は歯が折れている可能性がありますので、早めの受診が必要です。

口臭がする?

乳歯が抜けて大人の歯である永久歯になる生え変わりの時期には、ねこちゃんに口臭があることがあります。口臭の原因はバクテリアの繁殖なのですが、乳歯が抜けそうになっていてできた隙間や挟まった食べ物のカスなどは、バクテリアの繁殖にとって最高の環境です。通常永久歯に無事全て生え変わると、口臭は消えていきます。

生え変わり期に気を付けること

乳歯が生えていた場所に通常は永久歯が生えてくるため綺麗に生え変わりますが、稀に乳歯が生え変わらずにしつこく残っている場合があります。このような場合はすぐに獣医師に相談してください。乳歯遺残と呼ばれています。乳歯が残ってしまうと正常な位置に永久歯が生えてこなくなり、不正咬合(ふせいこうごう)に繋がる恐れがあります。不正咬合とは歯並びや噛み合わせが良くない状態のことです。

通常残っている乳歯を抜歯することで正常な位置に永久歯が生えてきます。去勢、避妊手術と一緒にすることもできますが、それまで待つということはおすすめしません。

乳歯が残っていないか含め、生後約7~8ヵ月頃までは歯磨きと一緒に毎週歯の状態をチェックすることが重要です。

猫の歯が抜けることがある?【青年期、全年齢】

通常ねこちゃんが乳歯から永久歯での生え変わり以外で歯が抜けることはありません。

重度の歯周病では歯が抜けることがあります。いずれにしても異常事態と考え獣医師にすぐ相談をしてください。

歯が折れたり、欠けたりすることがある(歯折)

ねこちゃんの歯が抜けるのとは少し違いますが、歯が欠けたり折れたりすることがあります。

歯折(はせつ)といって、ねこちゃんだと高い所から落ちた衝撃や、喧嘩などで損傷することが時々あります。少しの欠けでもねこちゃんの歯の表面エナメル質の部分は薄く、象牙質に達していると温度に敏感になったり不快感がありますので、小さな欠けでも放置せずに獣医師へのご相談をお勧めします。

詳しくはこちらの記事に記載しています。

猫の歯折。歯が折れた時の対処法

歯周病関連

重度の歯周病でも歯が抜けることがあります。出来るだけ早い段階で気付いたら獣医師に相談してください。予防としては歯磨きを普段から行う事です。

猫の歯が抜けることがある?【老年期】

大人になって高齢で抜ける時

高齢のねこちゃんでは、老化の現象として歯茎が歯をしっかりと固定する機能を失い、歯が抜けることがあります。

また、重度の歯周病や、など深刻な健康問題が背後にあることがあります。

歯が抜けた時の対応

そのため歯が抜けた高齢のねこちゃんを飼っている場合は、口腔内の問題がないか病院で診てもらいましょう。

歯が抜ける年齢はどのくらい?

老化で歯が抜けるケースは、大体10歳以上のねこちゃんに見られます。

猫の歯が抜けた場合の餌

ねこちゃんは口腔疾患を経験するケースも多いのですが、多くの場合抜歯の手術後などは痛みや不快感から解放されて食欲が増すことがあります。ねこちゃんは歯がなくなっても、私たちが思うよりかなり上手に食事をします。

多くのねこちゃんは私たち人間のように食べ物を噛んだりすり潰したりするのではなく、掴んで切断するといったように歯を使います。ほとんどの場合あまり噛まずに飲み込んでいます。

初めてねこちゃんが歯のない状態で主にドライフード等の食事をする時は、念のため24時間程経過観察してきちんと消化できているか観察することが推奨されます。

推奨の食事としては、ドライフードの粒が大きくて喉に詰まらせたりすることもありますので、お湯でふやかして柔らかくしたドライフードや、缶詰などのウェットフードが推奨されています。

ウェットフードのみにした場合必要な栄養素が偏ることもあるため、総合栄養食のタイプを選ぶなど、工夫してみましょう。

ちなみに野生のねこちゃんの場合、歯を失うと大きい獲物を切断したりなどが出来なくなるので大問題になります。食べ物が一口大であるかなどを、食べる前に自分で確認しなくてはいけなくなります。

猫の歯で年齢が見分けられる?

保護されたねこちゃんなどで年齢が分からない時に、歯を見て大体の年齢を推定することがあります。ただメインクーンなど4歳位まで成長を続けるねこちゃんもいたり、他より歯の状態や歯肉炎などの状態になるのが早いケースがあるなど、一概には言えずあくまで目安です。

猫の歯に関連する病気について

歯肉炎

歯肉の腫れや出血などの炎症が起きている状態。多くの場合口腔内が不衛生な状態でバクテリアが繁殖し歯垢が蓄積して起こります。歯周炎になる前段階とされています。

歯周炎

歯肉の腫れや炎症がさらに進行した状態。歯石が蓄積し、歯茎が下がってきて歯根が露出したり、歯のぐらつきが起こります。ひどい場合だと歯が抜け落ちてしまうことがあります。

歯の吸収

歯の象牙質という表面の硬いエナメル質の下の柔らかい部分が浸食され、最終的には取り返しの付かないほど破壊されます。強い痛みの他、よだれの増加、口内出血、食欲不振などが併せて起こることがあります。

歯周病

歯や歯茎、歯に関わる組織の炎症のことを指します。歯肉炎や歯周炎なども、まとめて歯周病と呼ぶことがあります。

歯折

病気とは少し違いますが、ねこちゃんの歯が欠けたり折れてしまったりすることがあります。少しの欠けに見えてもねこちゃんは表面の硬いエナメル質が人間より薄いこともあり、注意が必要です。

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