【猫のフィラリア】原因と症状、治療について

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最近、ねこちゃんが疲れやすくなったり

咳が出るようになっていませんか?

今回は、猫のフィラリア症についてご紹介します。

蚊を通して感染するこの病気…。

どのような症状や治療方法があり、どんなことに気をつければいいのか。

この記事をチェックしてみてくださいね。

猫のフィラリアの概要と原因

猫のフィラリアの概要

フィラリア症とは、フィラリア(別名:犬糸状虫)と呼ばれる寄生虫によって重度の肺疾患、心不全、その他臓器の損傷を引き起こす深刻な病気です。このフィラリアは、蚊の媒介によってねこちゃんのからだの中に入っていき、数ヶ月で長さ15cm~36cm、幅3mmにまで成長し主に肺に生息するようになります。その結果、血管や肺に炎症を引き起こし、最悪の場合死につながる可能性があります。

猫のフィラリアの原因

冒頭にも触れたように、フィラリアが蚊を媒介してねこちゃんの血液に入っていくことで感染します。感染直後の幼虫のフィラリアはからだの中の小さな血管に生息し、最終的には心臓と肺に入ります。そこで6~7ヶ月程度で成虫になり、繁殖ができるレベルまでに成長します。

フィラリアの感染経路

ねこちゃんの場合、フィラリアは自然治癒することが多く、ねこちゃんが感染源になることは少ないです。多くはわんちゃんからの感染であり、感染したわんちゃんが蚊に刺されると、ことによって幼虫が他へと広がっていきます。

猫のフィラリアの症状

フィラリア症は、ねこちゃんの体内にどれだけの寄生虫がいるか、感染してからどのくらい時間が経っているのか、どのような症状がみられているのかが重症度の目安です。フィラリア症のねこちゃんにみられる初期症状として、以下のものがあります。

  • 元気がない/動きたがらない
  • ごはんを食べない
  • 呼吸が苦しそう
  • 呼吸する回数が増えてきた
  • 口を開けて呼吸する
  • 咳をしている

臓器に寄生虫が入り込んで心肺機能に支障が出るため、少し動いただけでもスタミナ切れをしてしまうことがあります。また、フィラリアの中でも成虫と幼虫でわんちゃんに与える影響が変わります。

成虫のフィラリア

成虫は、肺動脈を詰まらせることによって炎症を起こし、主にかゆみや蕁麻疹、腫れ、呼吸困難などアナフィラキシー反応を起こすことがあります。

幼虫のフィラリア

幼虫は体全体に循環しますが、主に小さな血管に留まります。その幼虫と血管と同じ幅であるため、血流を遮断してしまう可能性があります。その影響で細胞は血液によって得ていた栄養と酸素を奪われてしまい、上記の症状を示したり最悪の場合突然死することもあります。

これまでに初期症状をはじめ、成虫や幼虫のフィラリアが及ぼす影響についてご紹介しました。ただ、ねこちゃんははっきりとした症状が出ないことが多く、フィラリア症の発見が遅れてしまうことが多いようです。もし心配になった場合は、動物病院で検査をしてもらいましょう。

 

フィラリアの猫の検査

獣医師は一般的に、抗原と抗体の2種類の血液検査を組み合わせてねこちゃんがフィラリア症になっているかを確認します。ただし、この検査結果が陰性だからといって感染していないと判断はできず、正確性を欠いているという大きなデメリットです。そのため、獣医師は2種類の血液検査の結果をはじめ、症状やレントゲン、超音波検査などの他の検査をして総合的にフィラリア症であるかを判断します。

ではフィラリア症に罹ってしまった場合、どのような治療がされるのでしょうか?

猫のフィラリアの治療

投薬

寄生虫の治療薬であるイベルメクチンは、長期間投与することでフィラリアの量を減らすことができます。また、すでに炎症反応が出ているねこちゃんにはステロイドを処方します。

突然呼吸困難になったねこちゃんには、酸素の投与、ステロイドなどの投薬により容態を安定させることが重要です。ねこちゃんが口を大きく開けて呼吸をするなど苦しそうな症状が見られた場合はすぐに動物病院で受診する必要があります。

手術

過去には手術による治療が存在していましたが、現在は手術を行うための器具が販売停止となっているためこの治療は過去のものとなっています。基本的には投薬にて様子を見る形をとります。

猫のフィラリア予防

フィラリア症にならないための一番の予防法は、予防薬を使うことです。ねこちゃんの予防医療は、生後6~8週からはじめることがおすすめです。生後7ヶ月以上のねこちゃんに予防医療を開始する場合は、処方する前に感染していないことを確認するために抗原検査をする必要があります。その後検査で陰性が確認できたら、獣医師に処方されたおくすり(外用薬)を毎月塗布することで予防することができます。

蚊の出るシーズンに合わせ、東京の例では5-12月の塗布を推奨されていますが、当院では温暖化による蚊の発生タイミングのずれも考慮し現在は通年での予防を推奨しています。

フィラリア症にかかった猫ちゃんのその後

フィラリア症になったねこちゃんは、生存期間の中央値が4年といわれています。そのため、治療を受けた場合も無症状の場合も、6~12ヶ月ごとに血液検査や心臓超音波検査、胸部レントゲン写真を行い、フィラリア症の状態を経過観察する必要があります。

少しでも「ねこちゃんの様子がおかしいな…」と思ったら、まずは動物病院に連れていきましょう。迅速な診断と治療、そして獣医師からのアドバイスを受けてねこちゃんの健康状態を常に観察することが大切です。