食欲があるのに犬が下痢をするとき
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今回ご紹介するのは、おくち全体に歯石がしっかりついてしまったわんちゃんの症例です。
という理由で来院されたわんちゃんです。
この子は歯石がついてしまっただけのように見えますが、全身麻酔下で1本1本状態を確認し、歯科レントゲンを用いて根っこの状態をみてみると、歯周病菌によって炎症がすすみ、歯肉が溶けてさがってしまっている部分や、逆に歯肉が腫れて歯が埋もれてしまっている部分、出血などがみられました。
人間が歯磨きをしなかった場合、1~3週間で歯石がつくと言われていますが、犬や猫はどれくらいで歯石がつくのでしょうか?
答えはなんと2〜3日です。犬や猫は人間よりも歯石になるスピードが約7倍も早いのです。
ご飯を食べたときについた汚れは、食後数時間で“歯垢”になり、さらに2~3日経過すると“歯石”になります。犬や猫のお口の環境はアルカリ性なので、ついた歯垢が数日同じ場所にあるだけで歯石に変化してしまいます。そして一度歯石が着くと、そのザラザラした歯石の表面に更に歯石がつきやすくなり、どんどん大きくなると歯肉で細菌が悪さをして歯肉炎を起こし、さらに炎症が進むと歯周病になってしまいます。
今では5頭に4頭が歯周病(歯肉炎・歯周炎)を患っていると言われています。
そして更に炎症が進むと、口腔内だけでなく口から鼻にまで炎症が広がったり、顎を溶かしてしまう怖い病気も引き起こします。
それでは、歯石が着いてしまった場合、どのようにしたら良いのでしょうか?犬の歯石の取り方は?自宅でできる方法はある?と悩む方も多いと思います。
歯磨きで“歯垢”を取ることで、“歯石”を予防はできますが、一度“歯石”になってしまうと、固くしっかりとついた歯石を歯磨きで取ることはできません。
歯に着いてしまった歯石は、全身麻酔をして歯石取りの治療をすることで綺麗に除去することができます。
今回の治療は「スケーリング」=歯石を取る治療と、「ポリッシング」=歯石を取った後に歯を研磨する治療を行いました。
健康チェックをして大きな問題がないかしっかり確認した後に、全身麻酔を行います。
次に、歯肉に隠れて目に見えない部分の歯の状態や、歯周病の治療や抜歯をしなければならない歯がないかを確認するために全ての歯のレントゲンを撮影します。
■ スケーリング(歯石除去)とポリッシング(研磨)
今回の症例では、抜歯が必要な歯はなかったため、ついてしまった歯石を丁寧に除去しました。歯石を取ることで歯の表面に肉眼では見えないレベルの細かい傷がつき、その傷をそのままにしておくと歯垢が着きやすくなってしまうため、最後に数種類の研磨剤を使い分け、歯の表面をツルツルに研磨して仕上げます。
手術がおわり、全身麻酔から目を覚ましたあとは、その後2~3時間ほど病院で安静にして過ごし、明らかな異常がなければお家に帰ります。
■ 治療後のアフターケア
全身麻酔によるお口の処置の後は、定期的な検診をしてお口の状態を確認していきます。(口臭やお口の汚れ、炎症の状態、特殊な治療を行った歯がある場合はその経過をチェックしていきます。)
治療後はおよそ1〜2週間で再診に来ていただきます。
お口の変化はスピードがはやいので、その後は1-2ヶ月の間隔で歯科検診を行っていきます。
当院では、歯石を除去する機器も超音波スケーラだけでなく、歯の表面や歯周ポケットの細かい歯石を除去するための、先端が数ミリのハンドスケーラーなどを使い分け、丁寧に汚れを取っていきます。
歯の構造を理解し、適切な処置を行うためには、さまざまな機器を使い分けることが重要です。
▼KINSWITH動物病院での歯石取りの流れを見てみる
KINS WITH動物病院、院長の岡田純一です。当院では愛犬さん、愛猫さん、ご家族の抱えるトラブルに対し、症状をなくすことはもちろん、なるべく根本から解決することを目指しています。
高性能な機器を用いた安全で正確な処置はもちろん、常在菌に着目したアプローチや、お家での生活に対するアドバイスまで丁寧に対応致します。
もちろん手技の技術を向上させるための鍛錬も日々欠かさず行なっております。
愛犬さん、愛猫さんとご家族が元気いっぱいで幸せな時間をなるべく長く過ごすお手伝いができるよう、努めて参ります。よろしくお願い致します。