ポメラニアンに歯磨きが必要な理由とは?おすすめの歯磨き方法とコツについて

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ポメラニアンの歯の特徴と歯磨きの重要性

ポメラニアンは、成長過程の歯が生え変わる時期に抜けるはずの乳歯が残ったまま永久歯が重なって生える「乳歯遺残」である場合があります。乳歯が残ってしまうことで、永久歯が正しい位置や向きに生えることができず、歯と歯が重なってぶつかり合ったり、噛み合わせが悪くなることもあります。これは「不正咬合」と呼ばれます。ポメラニアンは鼻が短い犬短頭種であるため、「不正咬合」や頭部の構造上、歯が密集したり歯並びが乱れる傾向にあるようです。また、ポメラニアンの歯並びの乱れは、歯の数が多い「過剰歯」や歯が回転して生える「捻転歯」による場合もあります。

歯の密集や歯並びの乱れは、歯と歯の間に食べかすや歯垢が蓄積しやすく、放っておくと歯垢は歯石に変わり、歯石の放置は歯周病を引き起こしてしまう原因にもなります。さらに、歯石は家庭での歯磨きでは除去することができませんので、歯垢が歯石になるのを予防するには、毎日歯磨きを行うことが非常に重要です。

まずは歯磨きの基本を確認!

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ポメラニアンの歯垢が溜まりやすいところと、適切な歯磨きの頻度は?

犬は、大きな肉などの食べ物を噛みちぎって飲み込むため歯が発達しており、歯によって異なった役割を持っています。

水分を多く含んでいるごはんを食べると、食事で水分が摂れるため、食後にお水を飲む回数が減って食べかすなどが流れにくく、口の中に残りやすかったり、噛む回数が減って唾液の分泌が少なくなることがあるようです。このため、愛犬の歯には歯垢が溜まりやすくなってしまいますが、必ずしも食事を変える必要はありません。このような場合は、マッサージで唾液の分泌を促進させたり、歯磨きをより丁寧に行うなどの工夫が必要です。

では、実際にポメラニアンのどこの歯に歯垢が溜まりやすいのでしょうか。次の3つの歯が、特に歯垢が溜まりやすい箇所と言われていますので、より丁寧な歯磨きを心がけるようにしましょう。

①上顎第4前臼歯、下顎第1後臼歯(裂肉歯)

犬の上顎に生えているもっとも大きい歯「第4前臼歯」は、42本の歯の中でもっとも汚れやすい歯と言われています。口の中に入れた食べ物を細かくして、飲み込めるように切断する役割があります。

②上顎第1、第2後臼歯、下顎第2、3後臼歯

第1後臼歯は、下顎のいちばん大きい奥歯で上面がすりこぎ状になっていて、細かくなった食べ物を、さらに細かくすりつぶす役割があります。

③犬歯の根元と裏側

犬歯は、もっとも尖っている歯で、獲物を捕らえて逃がさないようにする役割のある歯です。奥歯と違って、口唇をめくると磨きやすい歯ではありますが、根元や裏側に歯垢や汚れが溜まりやすいので、磨き忘れのないように気をつけましょう。

歯磨きは、毎日行うことが理想的ですが、難しい場合は最低でも2〜3日に1回の頻度で行うことが望ましいと言われています。それは、犬の歯についた歯垢は、2〜3日で歯石になるため、歯石になる前に歯垢を取り除くことで、歯石化するのを予防することができるからです。

また、いつから歯磨きを始めればよいか迷われる飼い主さまもいらっしゃるかもしれませんが、歯磨きは歯が生え変わる前の子犬の頃から、できるだけ早く始めることが大切です。歯磨きでブラッシングすることによって歯の土台である歯茎が強化され、愛犬の歯を健康に保つことに繋がると言われています。

なぜ、ポメラニアンに歯磨きが必要なの?怠るとどうなる?

ではなぜ、歯磨きが必要なのでしょうか?まず、歯垢は食後8時間程度で形成され始め、24時間程度で歯周病菌などの悪玉菌が増えていきます。さらに、ほおっておくと2〜3日で歯石になり、歯石は歯磨きでは除去することができません。歯石が蓄積すると、歯垢がたまりやすくなり、歯周病を引き起こして悪化させやすくなる可能性があります。そうなると、口の中の細菌が血液にのって全身に行き渡り、心臓や肝臓、腎臓などの病気を招いてしまう恐れもあると指摘されています。よって、歯磨きは、愛犬の歯や体全体の健康を守るために必要な欠かせないケアなのです。

犬が口腔内トラブルを抱えていると、口腔内フローラ(細菌)のバランスが崩れ、病原性の高い細菌が唾液とともに腸に流れ込み、腸内フローラにも悪い影響を与えてしまい、消化器系疾患などの「下痢」を引き起こす可能性もあると言われています。

犬の「下痢」には一過性のものもありますが、何度か繰り返していたり、長期間続くこともあるでしょう。病気の場合もありますが、腸内フローラが乱れて下痢をしやすくなっているかもしれません。乱れた口腔内フローラが腸内フローラに悪影響を与えている可能性もあるので、歯周病予防のためにも毎日の歯磨き習慣をつけるとよいでしょう。

ポメラニアンの愛犬におすすめ!歯磨きに役立つマズルトレーニングの効果と6つのステップ

毎日の歯磨きが、愛犬の全身の健康にも影響しているということがわかりましたが、特にポメラニアンは短頭種であり、「乳歯遺残」による噛み合わせの悪さ、「過剰歯」や「捻転歯」による歯の密集、による歯並びの乱れなどの影響で、飼い主さまも愛犬の歯を隅々まで磨くのが難しいと感じたり、歯磨きに時間がかかって愛犬自身も歯磨きが苦手になってしまう場合が少なくないのではないかと思います。このような場合は、いきなり歯ブラシで歯を磨くのではなく、まずは口の周りを触る練習「マズルトレーニング」から始めてみてはいかがでしょうか。

マズルトレーニングとは?

母犬は、子犬のマズル(口のまわりから鼻先にかけての部分)に顎を乗せてしつけを行ったり、マズルを噛むことで、上下関係や「やってはいけないこと」を教えます。犬のこの習性に沿った方法で、人間が取り入れたしつけ方法を、「マズルトレーニング」と言います。愛犬自身も、本能的にやってはいけないことだと認識しやすいため、しつけが効果的だと言われています。

マズルトレーニングを行うには「マズルをつかむ」必要があります。では、その「マズルをつかむ」6つのステップを見ていきましょう。

<ステップ1>

愛犬の身体を触ったり頭をなでたりして、リラックスさせる

<ステップ2>

マズルを静かに優しくなでる

<ステップ3>

鼻先を包み込むように軽くにぎる

<ステップ4>

マズルをつかんだまま上下に動かしてみる

<ステップ5>

口を持ち上げたり開けさせたりする

<ステップ6>

マズルに触れられることに慣れたら、愛犬が実際に悪さをした時にマズルをつかむ

このような6つのステップで、ゆっくりとトレーニングしていきましょう。マズルトレーニングができるようになると、愛犬の歯磨きの他、耳掃除や投薬などの際にスムーズに顔に触れることができたり、興奮を鎮めることなどにも役立ちます。

ただし、マズルには感覚器官が集中しているため、初めは触れられることを嫌がる愛犬が多く、難しいかもしれません。特に、ポメラニアンの口は小さいため、無理に強く触らず優しくつかみ、飼い主さまとのスキンシップを楽しみながら、愛犬のペースにあわせて少しずつ行っていきましょう。

ポメラニアンの歯磨き方法とコツ

ここからは、ポメラニアンならではの歯磨き方法とコツについてご紹介していきます。歯磨きのコツをつかんで、毎日の歯磨きや練習にお役立ていただければと思います。

<ポメラニアンの歯磨きのコツ>

①遊びやゲームを取り入れて歯ブラシに慣れる

ポメラニアンは、好奇心旺盛で賢く飼い主さまにも忠実で、トレーニングやしつけの習得が早い傾向にあるようです。さらに、トリックやゲーム、遊びが好きな場合が多いため、歯ブラシや歯磨きジェルを活用して、飼い主さまとゲームをしたり遊んだりして、まずは、歯ブラシが安全なものであるということを教えてあげるとよいでしょう。

②歯磨きの時間やルールを決めてトレーニングする

ポメラニアンは、しつけやトレーニングの習得が早いと言われている一方で、警戒心が強かったり、周りの人や環境などのさまざまなことに興味を持っているため、集中力が持続しにくい場合もあると言われています。そのため、愛犬の歯磨きは短い時間で繰り返し行う方法を取り、その都度こまめに褒めてあげたり、ご褒美としておやつをあげたり、歯磨きジェルを舐めさせるなどの工夫をするとよいでしょう。また、ポメラニアンは規則正しく予定通りのスケジュールを好む傾向にあるようですので、愛犬が落ち着く時間帯や環境、スケジュールなどを決めて歯磨きを行うと効果的であると言われています。

③ハンバーガー持ち

ポメラニアンの歯磨きをする際におすすめなのが「ハンバーガー持ち」です。「ハンバーガー持ち」とは、愛犬の口を優しく指でつかむ方法で、ハンバーガーを持つようなかたち「Cの字」で愛犬の口をつかみ歯を磨きます。愛犬に合わせて、逆Cの字にしたり角度を変えることもおすすめです。口をつかんだ指で口唇を軽く持ち上げ、歯茎に対して斜め45度の角度で優しく磨いてあげましょう。

<ポメラニアンの歯磨き方法>

①愛犬とコミュニケーションを取りながら、まずは、歯磨きジェルを舐めることや口のマッサージから始めて、少しでもできたらこまめに褒めてあげましょう。

②歯磨きジェルや口に触れられることに慣れてきたら、歯磨きシートやガーゼなどを飼い主さまの指に巻いて少しずつ愛犬の歯や歯茎に触れていきます。指の第一関節辺りまで使用し、奥の歯まで一本ずつ触れて汚れを取り、歯磨きジェルを左右それぞれの歯茎に塗りましょう。

③歯や歯茎に触れられることに慣れてきたら、次は歯ブラシに歯磨きジェルを付けてゆっくりと優しく歯を磨いていきます。愛犬の負担にならないように、「おりこうだね」などと褒めながら少しずつ歯磨きに慣れていきましょう。

歯磨きを嫌がる時はどうすればいい?

愛犬が歯磨きを嫌がる時は、歯磨きジェルを付けた歯ブラシを舐めさせたり、歯ブラシで口や歯に触れたり、皮膚をめくったりして口を触ることからスタートし、まずは歯の形や状態をチェックするだけでもよいでしょう。愛犬が口に触れられることに慣れてきたら、歯ブラシを軽く歯にあてながら食べかすや汚れを落としたり、歯や歯茎をマッサージするように磨きます。歯磨きを強制したりゴシゴシと磨く必要はなく、褒めながら優しく歯を磨き、愛犬のペースに合わせて少しずつ慣れていくことが大切です。

また、「1日目は右側、2日目は左側、3日目は前側」のように、歯を「3日で1周」するように磨くと、愛犬と飼い主さまの精神的・身体的な負担を軽減することもできます。毎日少しずつ歯磨きをすることで、愛犬も口に触れられることに慣れてくれるはずです。まずは「3日で1周」を目標に取り組んでみましょう。

愛犬が歯磨きを怖がる場合は、歯磨きジェルを歯茎に塗って唾液腺をマッサージしてみましょう。口全体に歯磨きジェルが行き渡り、口内環境の改善が期待できます。さらに、唾液腺をマッサージすることで、唾液の分泌が促され口内環境がよくなり、歯周病菌の増殖を抑えてくれる効果も期待できます。また、お水に適量のジェルを溶かすだけでできる「デトックスウォーター」を飲むこともおすすめです。

歯磨き後におやつはあげていい?

歯磨き後におやつをたくさん与えすぎるのはよくありませんが、歯磨きに慣れていないうちは、歯磨きを頑張った後に褒めながらおやつをあげて、「歯磨きは楽しいものだ」と愛犬に思ってもらうことも大切です。おやつを与えた後は、お水を飲むなどして口をすすげるとよいでしょう。

ポメラニアンのデンタルケアでやってはいけないこと7選

頑張って歯磨きができるようになっても、間違った歯磨きの方法を続けてしまうと、愛犬が痛がったり歯や歯茎に負担をかけてしまう可能性があるかもしれません。ここでは、「デンタルケアでやってはいけないこと7選」をご紹介させていただきます。

①歯磨きガムだけでのケア

歯ブラシや歯磨きシート、ガーゼなどで歯を磨いてあげなければ、十分なケアはできません。歯磨きガムを歯磨きのご褒美として与えつつ、歯ブラシの練習も行いましょう。

②歯磨きの後におやつをあげない

慣れないうちは、歯磨きを楽しいと思ってもらうためにおやつをあげましょう。

③硬いものをあげていれば大丈夫

硬いものは、愛犬の歯や歯茎を傷めてしまう可能性があります。

④歯磨きができないからデンタルジェルも使わない

デンタルジェルは、口腔内の乾燥を予防したり口臭を抑えたりする効果が期待できます。

⑤歯磨きを強制する

無理に歯磨きをしようとすると、嫌になって歯磨きができなくなることがあります。スキンシップから始め、歯磨きジェルなどを歯ブラシにつけて舐めさせてあげ、少しずつ慣れていきましょう。

⑥歯がきれいなので歯科検診を受けない

見えないところで歯周病が進行している可能性もあります。3か月から1年に一度、定期的な歯科検診を受けるようにしましょう。

⑦歯ブラシでゴシゴシ磨く

硬い歯ブラシでゴシゴシと強く磨くと、歯茎を痛めてしまいます。歯1本につき、2〜3秒くらい摩擦をかけながら優しい力で磨いてあげましょう。

ポメラニアンに歯磨きを好きになってもらうための手順と、おすすめのアイテムとは?

歯垢は食後8時間程度で形成され始め、24時間程度で歯周病菌などの悪玉菌が増えてくるとお話ししました。そのため、歯磨きは毎日の習慣にすることが理想的です。毎日のことだからこそ、できるだけ愛犬が負担を感じることなく歯磨きを行い、好きになってもらう必要があります。

また、歯垢は歯磨きをせずほおっておくと、2〜3日で歯石になってしまいます。さらに歯石は、歯磨きでは除去することができず、蓄積すると歯垢がたまりやすくなり、歯周病を引き起こし、悪化させやすくなる恐れもあると指摘されているようです。そうなると、口の中の細菌が血液にのって全身に行き渡り、心臓や肝臓、腎臓などの病気を引き起こしてしまう可能性もあります。

次のステップを取り入れ、歯磨きの時間を飼い主さまと愛犬の楽しいコミュニケーションの時間にし、愛犬に歯磨きを好きになってもらいましょう。

<ステップ1 コミュニケーションを取りながら唾液腺をマッサージ>

「ポメラニアンの歯磨きのコツ」の項目でもお話しさせていただきましたように、ポメラニアンは好奇心旺盛でゲームや遊びが好き、飼い主さまに忠実で喜ばせることが好きな犬種でもあるようです。よって、愛犬に歯磨きを好きになってもらうためには、飼い主さまとの楽しいコミュニケーションが欠かせません。

トリックやゲームでご褒美を取り入れて、少しずつ顎の下やほっぺの周りの唾液腺をマッサージして褒めてあげ、飼い主さまとのスキンシップを楽しみながら口に触れられることに慣れていきましょう。口の中に複数ある唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促し、口の中の自浄作用や乾燥の予防にも効果があるようです。さらに、口内環境がよくなると、歯周病菌の増殖を抑える効果も期待できると言われています。

<ステップ2 ジェルを舐める>

歯ブラシを使った歯磨きが苦手な愛犬には、歯磨きジェルを舐めるところから始めてみましょう。歯磨きジェルには、愛犬の好きなやぎミルクなどの美味しい味や香りのするものがありますので、楽しみながらケアできます。愛犬が、歯磨きを楽しい時間として認識し好きになってくれたら、歯磨きを習慣化できる大きな一歩になるかもしれません。

<おすすめの歯磨きアイテム>

愛犬に歯磨きを好きになってもらうためには、歯磨きのアイテムも工夫してみるとよいでしょう。

①柔らかい毛が360度ついた歯ブラシ

できるだけ、愛犬の口のサイズに合ったものを選び、壊れにくく、噛んでも歯を磨くことができる柔らかい毛が360度ついた歯ブラシや、細くて柔らかい毛が隙間なくぎっしり詰まった歯ブラシなどがおすすめです。これらの柔らかい毛の歯ブラシは、硬い毛の歯ブラシに比べて歯や歯茎を痛めにくく、出血を予防したり、歯を優しく包み込むように磨くことができます。

②歯磨きシートやガーゼ

歯ブラシそのものが苦手な愛犬の場合、歯磨きシートやガーゼなどを飼い主さまの指に巻いて、マッサージするように歯を磨いてあげましょう。同時に、歯磨きジェルをつけて歯茎のマッサージを行うこともおすすめです。

③やわらかい毛のついた直毛の歯ブラシ

愛犬の歯ぐきは、ヒトの歯茎よりも刺激に弱いので、柔らかい歯ブラシがおすすめです。360ブラシでは歯と歯茎の間(歯肉溝)に毛がうまく入らない場合があるので、皆様がお使いの歯ブラシと同じようにまっすぐ毛が付いた歯ブラシがお勧めです。これを歯肉溝に向けて45度の角度でやさしく磨くのが良いでしょう。

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