
食欲があるのに犬が下痢をするとき
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飼い主さまのわんちゃんは、いつから歯磨きを始めましたか?わんちゃんにとって歯磨きは決して楽しいことではないかもしれませんが、歯磨きを受け入れ慣れてくれると嬉しいですよね。毎日の歯磨きは、歯や口の中の健康のためになるだけでなく、将来的な体全体の病気の予防にも繋がります。今回は、わんちゃんの歯磨きの必要性や歯磨きをするメリット、歯磨きに慣れてくれる方法などをご紹介していきます。
毎日の歯磨きは、わんちゃんの歯に付着した歯垢を取り除き歯石になるのを予防できます。歯石は、3歳以上のわんちゃんの3分の2以上に見られる歯周病や歯の周辺組織の炎症、感染症の原因となっており、酷くなるとその細菌が血液にのって全身に行き渡り、体全体の健康に影響を与えてしまいかねません。よって、毎日歯磨きをすることは、わんちゃんの歯や口の中の健康だけでなく、体全体の健康維持にもつながりますので、毎日の歯磨きは必要なのです。
歯磨きをすることで口臭の予防にもなりますし、歯や口の中が健康であることは、わんちゃんにとって美味しいものを食べられる喜びにもつながるでしょう。また、歯科疾患の治療費は高額である場合があります。また、歯周病が関連するとされる心臓病や腎臓病などが見つかった場合も、治療費は高額になります。毎日の歯磨きをすることでわんちゃんの健康と生活の質、病気の予防、将来的な治療費の削減にもつながるというメリットがあります。
わんちゃんにとって体全体の健康を左右する歯磨き。では、わんちゃんはいったい何歳から歯磨きを始めたらよいのでしょうか。
実際に、歯磨きができるわんちゃんの飼い主さまに「わんちゃんはいつから歯磨きを始めましたか?」という当動物病院独自のアンケートを取った結果があります。結果は、歯磨きができるわんちゃんのうち69.35%の約7割が0歳のうちに歯磨きを始めたという回答でした。
続いて、1歳から歯磨きを始めたわんちゃんは14.52%、2歳からが6.45%、3歳からが4.84%、4歳以降では1.61%と減少しています。
歯垢が食後24時間以内に歯に形成され始めることや、歯石が3歳以上のわんちゃんの3分の2以上に見られる歯周病や歯の周辺組織の炎症、感染症の原因になっていることを考えると、歯磨きは子犬の頃から始めるのが望ましいと言えるでしょう。ただし、子供の歯から大人の歯に生え変わる時期に練習すると、痛みにより嫌がるケースがあり、なるべく避けるようにお伝えしています。
また、アンケート結果からおわかりいただけるように、1歳以降でも歯磨きを始めているわんちゃんは一定数います。よって、わんちゃんの歯磨きを始めるのは、大人になってからでも可能だと言えそうです。
しかし、大人のわんちゃんや高齢のわんちゃんは、子犬のわんちゃんよりも慣れるまでに少し時間がかかると言われています。では、実際にどうやってわんちゃんは歯磨きに慣れてくれるのでしょうか。まずは、二つのポイントをご紹介します。
歯磨きをする時は、わんちゃんが落ち着いている時間帯と環境を選んであげましょう。小さな子供や他のわんちゃんが遊んでいる騒がしいお部屋ではなく、わんちゃんがリラックスして安心できるお部屋を選びます。
わんちゃんの歯磨きグッズは、わんちゃんの歯磨きレベルに合わせて選んであげることが大切です。例えば、初めて歯磨きをするわんちゃんには、ガーゼや歯磨きシート、フィンガーブラシなどで、歯に触れること自体に慣れていくようなものを準備します。歯に触れることに慣れてきたわんちゃんには、わんちゃんの口のサイズに合わせたわんちゃん用歯ブラシを準備するとよいでしょう。
歯磨きを嫌がるわんちゃんには、ガーゼや歯磨きシートを使用する前に美味しい香りや味のするわんちゃん専用の歯磨き粉や歯磨きジェルを使用します。わんちゃんの歯磨きに対する印象が肯定的になりやすいと言われていますので、歯磨きを嫌がるわんちゃんに効果が期待できるかもしれません。また、人間用の歯ブラシだと毛が硬いため、痛くて嫌がるケースがあります。一部とても柔らかいものであれば使えることもありますが、基本的にはわんちゃん用の物を使いましょう。
では、実際にわんちゃんが歯磨きに慣れるための3つのステップをご紹介していきます。わんちゃんの歯磨きを行う場合は、わんちゃんが落ち着いた状態で静かな場所を選んでから行いましょう。
まずは、指に美味しい香りや味のする歯磨き粉や歯磨きジェルを少量つけて、わんちゃんに舐めさせることから始め、歯磨き粉や歯磨きジェルに対して興味を持ってもらいましょう。この時、可能であれば歯磨き粉や歯磨きジェルを、わんちゃんの歯や歯茎にあてて軽く触れたりマッサージします。
①の流れに慣れてきたら、次はガーゼや歯磨きシートを利用します。ガーゼや歯磨きシートに歯磨き粉または歯磨きジェルをつけて、わんちゃんの歯を磨いてみましょう。ガーゼや歯磨きシートに慣れないうちは、飼い主さまの指でも大丈夫です。わんちゃんが歯磨きを受け入れてくれたら、褒めたりご褒美をあげてみてください。繰り返し行い、最終的にはご褒美をあげるのをやめて、褒めるだけで喜んでくれるようになるとよいでしょう。決して無理やり歯を磨くことはせず、少しずつ慣れるのを待つことが大切です。
②のステップに慣れてきたら、次は歯ブラシに歯磨き粉や歯磨きジェルを少量つけて、わんちゃんの歯にあて少し磨きます。少しでも磨けたら褒め、この工程を少しずつ増やし、歯全体を歯ブラシで磨けるよう繰り返し行いましょう。
わんちゃんによって歯磨きに慣れるまでの時間は様々で、数日から数週間かかる場合もあります。歯磨きがわんちゃんのストレスにならないよう、飼い主さまは気長に待ってあげることが大切です。
最後に、わんちゃんの歯磨きをする上でのポイントと注意点をご紹介しますので、ぜひ参考になさってみてください。
人間の歯磨き粉には、わんちゃんにとって危険な成分が含まれています。わんちゃんが人間用の歯磨き粉を飲み込んでしまうと、胃のむかつきや消化不良を起こしてしまう可能性があります。また、キシリトールは危険な中毒症状を起こしてしまうので、絶対に使用はやめましょう。
わんちゃんの歯をきちんと磨けなくても、神経質になる必要はありません。わんちゃんの歯は主に外側を重点的に磨きましょう。歯周病は歯の外側から発生することが多く、わんちゃんの舌はざらざらしていて、歯の内側の食べかすや歯垢を取り除きやすいと言われています。歯磨きの苦手なわんちゃんは、まずは外側を重点的に磨けるようになることがおすすめです。もちろん、歯の内側を磨くことに抵抗のないわんちゃんは隅々まで磨いてあげましょう。わんちゃんのペースに合わせて少しずつ慣れていくことが大切です。
口を開けてくれない、ガーゼや歯ブラシを口に入れることを嫌がる場合、無理やり歯を磨こうとすると歯磨きが嫌いになってしまうかもしれません。その場合は、歯磨き粉や歯磨きジェルに口内環境を整える成分の入ったものもありますので、歯磨き粉や歯磨きジェルを舐めさせて少しずつガーゼや歯ブラシを歯にあてる工程を繰り返し行ってみてください。歯を磨くことはそれができるようになってからでもよいでしょう。
自宅での歯磨きでは、落としきれていない歯垢があるかもしれません。獣医師による定期的な歯科検診を受けることで、わんちゃんの口の中をより衛生的に維持することが可能です。
毎日の歯磨きは、わんちゃんの歯の健康はもちろん歯周病によって将来的に起こるかもしれない体全体の病気の予防にも繋がります。わんちゃんが子犬の頃から歯磨きを習慣化することで、そのリスクを軽減することができますが、歯磨きは大人になってからでも遅くはありません。少々歯磨きに慣れるまで時間はかかるかもしれませんが、わんちゃんの健康のために今から歯磨きをスタートし、ぜひ習慣にしていきましょう。