食欲があるのに犬が下痢をするとき
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飼い主さまは、愛犬の皮膚が赤くなっていたり、痒がっている様子を何度か見たことがあるかもしれません。犬の皮膚に現れる炎症には、単純な治療で治る症状から生涯お付き合いする必要のある基礎疾患まで様々な原因があり、その症状は犬からの体の不調を知らせるサインかもしれません。
今回の記事の内容は犬の皮膚が赤い、痒そうにしている時など、犬の皮膚に何らかの異常が見られた場合に参考にしていただければと思います。
犬の皮膚が赤くなったり、かゆみがあったり、発疹や炎症、腫れを起こしているなどの症状があることを、一般的に「皮膚炎」と呼んでいます。これらの原因には、かゆみに伴う掻き壊しや舐め壊しによる物理的な皮膚への障害もあれば、アレルギーやホルモン疾患など体の内側からの問題などもあります。炎症自体を抑えることは、飲み薬や塗り薬で対処できますが、炎症を起こしている原因を明らかにしないと、かゆみや赤みをぶり返すことが多いので、注意が必要です。
では、犬の皮膚に現れる炎症にはどんな症状があるのか、それによって起こる犬の行動にはどのようなものがあるのでしょうか。
飼い主さまが一番気がつきやすい犬の皮膚に起こる変化は、「皮膚が赤い」ことかもしれません。赤いできものや斑点、湿疹など犬の皮膚が赤い場合に考えられる原因は様々にあります。ここからは、犬の皮膚に現れる炎症の例を挙げて解説していきます。
ぷつぷつとしたできものは犬の皮膚のどの部分にも見られる症状ですが、一般的には腹部に多いようです。その主な原因は以下のようなものがあります。
接触性皮膚炎が疑われる場合は、刺激物に触れた皮膚を洗います。虫刺されやアレルギー、膿皮症による赤いできものや発疹の場合は専用のシャンプーをするか、判断できない時は早めに獣医師に相談しましょう。
かさぶた自体が問題である場合もありますが、膿疱やニキビができた後にかさぶたになったものもあります。膿皮症などのように、皮膚に細菌が感染することによってできるかさぶたや、ノミやダニなどの外部寄生虫によるものなどがあります。
春の終わりから初夏にかけての犬の腹部の赤い斑点は、クロバエという虫に刺されたことが原因である可能性があります。これらは平らな赤い斑点で、犬に大きな不快感はありません。同じ虫刺されでもブユに刺された場合には治療が必要なので、獣医師の診察を受けることをおすすめします。
犬の皮膚が赤い状態は、かゆみと共に起こるアレルギー反応である可能性があります。アレルギーの場合は、その原因となっているものを突き止め、排除していくことで予防が可能です。症状を抑える治療方法もありますので、獣医師の診断の上、適切な治療方法を選びましょう。
フケは皮膚の角質細胞が剥がれたもので、新陳代謝によっても生理的にできますが、産生量が多い場合は、乾燥や皮脂を過剰に分泌する脂漏症やダニによってフケが出ることがあります。
強いかゆみは、アレルギーやノミやダニなどの外部寄生虫が原因となっている場合が考えられます。また、かゆみは犬の皮膚に起こる炎症、赤みや赤いできもの、皮膚感染症でもみられます。
上記以外にも、脱毛や臭い、皮膚の変色、あざなどの症状が現れることもあります。また、犬が皮膚を執拗に舐めたりすることで炎症に気がつくこともありますので、普段から犬の様子を観察し一早い変化に気がついてあげることが大切です。気がついた場合には、早めに獣医師に相談するのがよいでしょう。
犬の皮膚は多様に変化することがわかりました。
では、皮膚炎を起こすよくある原因について見ていきましょう。
食べもの、生活環境、虫刺され、お薬による副作用、特定の季節などがアレルギーの原因となって、犬の皮膚に炎症が引き起こされます。山や草むらなどが好きな犬のお散歩中には、ツタウルシという刺激性の植物に注意したり、肥料や化学薬品に触れないようにすることが大切です。
アレルギーによる皮膚の炎症には、皮膚が赤くなったり、かゆみを引き起こすなどの症状がありますが、ひどい場合には蕁麻疹や発疹、腫れが体のどの部分にも現れますので、犬が重度のアレルギー反応を示している場合には、早急に獣医師に連絡しましょう。
寄生虫や害虫が犬の皮膚に生息することで、刺激やかゆみを引き起こす可能性があります。一般的な皮膚寄生虫は以下の通りです。
ノミに刺された時のノミの唾液に対するアレルギー反応が起こり、特に腰の周りにかゆみのある発疹を引き起こします。
ダニに刺されると、その部分自体がかゆくなったり、刺されてから数日以内に皮膚に炎症の兆候が見られることがあります。また、ダニの種類によって犬の皮膚に現れる炎症にも違いがあるようです。例えばヒゼンダニは強いかゆみを引き起こし、ニキビダニは多数のダニが集まることによって脱毛を引き起こします。
犬が感染症にかかると、皮膚の炎症を引き起こす可能性があります。
細菌感染によって、犬の皮膚に赤い斑点ができ、刺激臭がすることがあります。また、皮膚に細菌が感染する膿皮症は、ニキビのような炎症を引き起こし、かさぶたや皮膚が薄く剥がれ、抜け毛やかゆみも症状として現れます。
マラセチア皮膚炎はマラセチアという皮膚に常在する酵母菌が関与する皮膚炎です。皮膚炎が長期化することにより脱毛、皮膚が厚くなる症状が見られます。また、白癬(はくせん)は、皮膚糸状菌というカビによる皮膚炎で、赤く丸いかさぶたのような症状が特徴です。かゆみの症状は個体差ありますが、人や他のペットにうつる可能性があるので、早めに獣医師の診察を受けましょう。
皮膚の炎症は、犬の体に基礎疾患があることで現れる可能性もあります。多くの場合、毛が薄くなったり抜けたり犬の皮膚や被毛の質の変化が見られますので、これらの異変に気がついた場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
犬の皮に発疹ができたりと、皮膚の炎症が起こる原因は様々であることがわかりました。犬の皮膚の炎症の治療方法は、その根本的な原因によって異なります。その原因に直接対処することが、犬の皮膚の炎症を治療するために、迅速で効果的な方法なのです。最後に犬の皮膚の炎症の治療方法と予防についてご紹介していきます。
炎症のある犬の皮膚の状態を落ち着かせる効果や、ノミなどの外部からの刺激を受ける可能性のある寄生虫を取り除くことができます。
ノミやダニが、犬の被毛へ侵入するのを防ぎます。
犬の皮膚の炎症の原因が、細菌感染である場合にその症状を緩和することができます。
犬の皮膚の炎症の原因が、真菌感染症によって引き起こされている場合、根本的な原因を治療することで、かゆみや刺激を緩和することができます。
抗ヒスタミン薬のかゆみへの効果はケースバイケースであると言われていますが、アレルギー反応を中和し皮膚への刺激を防ぐことができます。
グルココルチコイドというステロイド薬によって、かゆみや刺激を軽減することが可能です。しかし、副作用があるため特定の場合にのみ処方されます。
お薬の使用は、獣医師の診察やアドバイスを受けた後、指示にしたがって適切に使用しましょう。
特に、アレルギーによって皮膚に炎症が起こっている犬は、食事からそのアレルギーの原因を取り除くことが皮膚の炎症を緩和することに効果的です。しかし、そのアレルギーの原因を特定することは難しい場合があります。アレルギーの原因物質を摂取しない「除去食」を獣医師が推奨する場合もありますので、犬が何らかの食物にアレルギーがあると疑われる場合は、相談してみるのもよいでしょう。
犬のアレルギーの原因になりうる生活環境や物質を回避することで、アレルギーによる皮膚の炎症を予防することが可能です。アレルギーの原因を特定することは難しいですが、刺激のある植物(ツタウルシ)や、肥料や化学薬品などに触れないようお散歩中に気をつけることも一つの予防方法と言えるでしょう。また、定期的にノミやダニの駆除薬を投与することも大切です。
犬の皮膚に現れる、赤みや赤いできもの、斑点、かゆみ、発疹などの原因は様々にあります。犬にそのような炎症が皮膚に現れた場合は獣医師に相談し、それぞれの原因に合わせて適切な治療をし、予防を続けることが大切だと言えるでしょう。
2023年10月にKINS WITH動物病院グループの一員になりました、渡邊動物病院の皮膚科認定医の木村です。
皮膚のお悩みは、原因が複合的なことが多く、特定が難しいと言われています。足先に皮膚炎の症状が出ていても、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの可能性もあれば、足の関節が痛くて足を舐めて皮膚炎になっている可能性もあります。
私は皮膚科認定医でありながら、腫瘍認定医でもあります。日本獣医循環器学会や日本獣医歯科研究会に所属し、幅広い知見があります。皮膚に限らず、幅広い分野に精通しているからこそ、皮膚病の要因をあらゆる観点から分析し、根拠をもって適切な治療方針をご提案します。