食欲があるのに犬が下痢をするとき
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今回は「ノミアレルギー性皮膚炎」について紹介します。ノミは吸血性の昆虫で、世界で2500種以上、日本では50種類以上が知られています。
梅雨時期から夏の終わりにかけて、ノミは活発に活動をはじめ、猫ちゃんや犬だけでなく、ヒトにも吸血を行い、強いかゆみと赤みを引き起こします。温かい環境にいるとノミが発生しやすくなり、犬がそのノミでアレルギーを起こすことがあります。
1つでも該当する場合はぜひチェックしてみてくださいね。
犬に寄生したノミが吸血する際に、体内に侵入した唾液に対してアレルギー反応(過敏症)を起こす皮膚病が、ノミアレルギー性皮膚炎です。(ノミに刺されたことに夜湿疹とは違うものです)
アレルギー反応が一度成立してしまうと、多くは生涯に渡り、ノミに吸血されるたびに、アレルギー症状を生じます。ノミアレルギー状態の犬は、一匹のノミに刺されただけでも、広範囲なかゆみや炎症を伴うアレルギー性の皮膚炎を発症する可能性が高いです。
ノミに刺される回数が多いほど、アレルギー発症のリスクは高まりますが、元々アトピー体質であったり、食物アレルギーがある場合は、ノミアレルギー性皮膚炎になりやすいという報告もあります。
上記の通り、犬に寄生したノミが吸血する際に、体内に侵入した唾液に対してアレルギー反応(過敏症)を起こす皮膚病が、ノミアレルギー性皮膚炎です。
特に子犬の場合や基礎疾患がある場合、また免疫抑制療法の治療中には、ノミの感染・ノミアレルギーを発症する可能性が高くなる傾向がある他、そもそもノミ予防をしていないことから発症するケースも多くあります。
ノミは非常に身近に生息している生物だからこそ、適切な予防を行うことが発症を抑えるカギとなります。
犬のノミアレルギー性皮膚炎の兆候には以下のようなものがあります。
発症初期においては突然の強いかゆみと皮膚の赤みが現れることや、フケ、ブツブツ(丘疹)が見られます。慢性化すると掻き壊しや二次感染に伴う、脱毛、じゅくじゅく・かさぶたが生じる、シミが増える、皮膚がぶ厚くなるなどの強い皮膚症状が現れます。
また、ノミが大量に寄生しており重症の場合は貧血や体重の減少などの全身症状が見られるケースもあります。
これらの症状が見られる場合、早急に獣医師に診てもらうことが大切です。適切な治療を行わないと、症状が悪化して犬の健康に影響を与える可能性があります。特に背中の中央から尾の付け根、後ろ足にかけての部分のかゆみと抜け毛はノミアレルギー性皮膚炎によく関連しています。
特徴的な部位の皮疹(皮膚症状や状態)やノミ寄生の確認(ノミ糞や成虫の確認)、ノミ予防の有無などから仮診断を行い、診断的治療により、症状の改善を評価します。補助診断として、ノミに対するアレルギー反応の有無の指標になる特殊な血液検査(アレルギー検査、アレルゲン特異的IgE検査)を行う場合もあります。
まずは動物病院で扱うお薬による治療を行うことが重要です。
動物病院で扱っているノミ駆虫薬により、まずノミを減らしていくことが重要
広範囲で二次感染を起こしている場合;抗菌薬や外用薬
かゆみが強い場合;痒み止めの飲み薬や外用薬
皮膚炎の治療には、かゆみを抑えるための抗アレルギー薬や、炎症を抑えるためのステロイド薬を処方することがあります。ただ、特にステロイドは突然かゆみを伴う時に使用され短期間のかゆみの緩和には効果的ですが、免疫力の低下等の副作用が伴うので注意が必要です。おくすりに関しては、獣医師と治療薬の長所と短所について話し合い、犬にとって最も安全な治療計画をしてもらいましょう。
犬以外に猫ちゃんも同居している場合は、みんな一緒に駆虫を行うことが大切です。
定期的なシャンプーやブラッシングも有効です。ほとんどのノミは温暖な気候で繁殖しますので、暖房のきいた室内飼い、最近の温暖化傾向では1年中発生するリスクがあります。ブラッシングにより毛玉をほぐしてノミが好む環境を減らし、シャンプーにより物理的にノミの排除を行えます。また、犬が接触した場所や物品もしっかりと清潔にすることが必要です。
皮膚を清潔に保つことも大切です。皮膚についた汚れや菌を除去するために、定期的なシャンプーを行うことが推奨されています。どんなシャンプーを使ってよいかわからない場合は獣医師に確認を取ってから使用するようにしましょう。
治療には獣医師の指導のもと、継続的なケアが必要です。また、治療を始めた後も定期的な通院が必要になる場合があります。日常的に犬とのスキンシップを兼ねて身体のいろんな部分を触ったりお部屋を掃除をすることは、発症を未然に抑えることができます。犬が気持ちの良い状態で生活できるように、病院をうまく利用していきましょう。
2023年10月にKINS WITH動物病院グループの一員になりました、渡邊動物病院の皮膚科認定医の木村です。
皮膚のお悩みは、原因が複合的なことが多く、特定が難しいと言われています。足先に皮膚炎の症状が出ていても、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの可能性もあれば、足の関節が痛くて足を舐めて皮膚炎になっている可能性もあります。
私は皮膚科認定医でありながら、腫瘍認定医でもあります。日本獣医循環器学会や日本獣医歯科研究会に所属し、幅広い知見があります。皮膚に限らず、幅広い分野に精通しているからこそ、皮膚病の要因をあらゆる観点から分析し、根拠をもって適切な治療方針をご提案します。