食欲があるのに犬が下痢をするとき
- 犬
- お腹
- 読み物コンテンツ
「なんだか愛犬の歯が黒い……。」
わんちゃんの歯が変色している場合は、さまざまな原因が考えられます。深刻な歯の病気になっている可能性もありますので、注意が必要です。歯の病気は最終的に骨や臓器など全身に悪影響を及ぼすリスクがあり、甘く見てはいけません。
今回は、わんちゃんの歯が黒く変色する原因や治療、予防方法などについて解説します。
まずは、わんちゃんの歯が黒くなる原因をみていきましょう。歯の変色には、外側に着色しているケースと、内側から変色しているケースがあります。
歯の表面が変色している場合、考えられる主な原因は歯石の蓄積による汚れです。歯石は歯と歯茎の間に付きやすく、歯の裏側に付くこともあります。
歯磨きなどのケアを怠って歯石が溜まると、茶色や黄色のかたまりがわんちゃんの歯の表面に付着します。溜まった歯石がさらに黒っぽく変色することで、歯が黒く汚れたように見えるのです。
また、人間と同じように、食べ物による色素沈着も起こります。
歯の表面に歯石や汚れが付いているだけであれば、過度に心配することはありません。ただし、歯石の蓄積は歯周病が悪化する原因になります。動物病院で歯石除去の処置を受け、ご自宅でのデンタルケアを心がけることをおすすめします。
歯の内側から黒く変色している場合は、エナメル質の内側にある象牙質に異常がある可能性が高いです。歯の異常を放置すると骨にまで影響が出る危険性もありますので、早めに動物病院で診察を受けましょう。
原因として考えられるのは、歯が折れたり欠けたりする「破折(はせつ)」や、歯髄炎です。歯の中心には、歯の神経や血管が集まった「歯髄(しずい)」という組織があります。歯髄が細菌感染によって壊死すると、血液成分などが象牙質に浸透して変色を引き起こすのです。
また、わんちゃんでは一般的ではありませんが、虫歯になることもあります。いずれの場合も治療が必要ですので、早めに受診してください。
▼KINSWITH動物病院での歯周病治療の流れを見てみる
「歯が黒くなる」といっても、症状の現れ方はさまざまです。変色の特徴ごとに、主な原因などを詳しくご説明します。
特定の歯が全体的に黒く変色している場合は、先ほどご説明したように歯髄が壊死している可能性が高いといえます。歯髄が壊死するとは、いわゆる「歯が死んでいる」状態で、早めの治療が必要です。
歯の細菌感染を放置すると、歯の根元深くに膿が溜まるようになり、「歯槽膿漏(歯槽膿漏)」や「根尖病変(こんせんびょうへん)」と呼ばれる状態にまで重症化してしまいます。さらに進行すると頬に穴が開いて膿が出たり、あごの骨が折れたりすることもあります。最悪の場合は細菌が血流に乗って臓器に運ばれ、心臓や腎臓の病気にもつながるかもしれません。
歯に黒い斑点がみられるケースのほとんどは、食べ物の汚れや歯石が表面に付着して変色した状態です。ただし、非常にまれですが虫歯の可能性もあります。
通常、わんちゃんのお口は虫歯になりにくい環境です。しかし、口内の衛生状態が悪かったり、炭水化物などの糖質が多い食べ物を与えたりすることで、人間と同じように虫歯になってしまうことがあります。虫歯になると、菌が歯を溶かす酸を出し、歯の表面に穴が開いて黒い点のように見えるのです。
また、表面に茶色っぽい穴がみられた場合は、エナメル質形成不全によって象牙質が露出している可能性も考えられます。
わんちゃんの歯茎が黒い場合には、先天的なものと後天的なものがあります。チャウチャウなど、遺伝的に生まれつき歯茎や唇が黒くなっている犬種もあり、この場合は特に心配ありません。
問題は、後天的に歯茎が黒く変色した場合です。腫れやしこりを伴うなら、口腔がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性があります。転移して命に関わることもありますので、速やかに動物病院で検査を受けましょう。
また、歯茎が青紫色になっていたら、低酸素状態(チアノーゼ)が疑われます。循環器や呼吸器に異常があるサインかもしれません。運動後や興奮した際に、咳が出たり、下の色が青くなることはありませんか?その場合は早急に動物病院で検査をしてもらいましょう。
歯茎のピンク色が薄い場合も、循環器の病気や貧血が疑われます。ご自宅でも、日常的に見てあげるようにしましょう。
黒くなった歯は治療が必要なのでしょうか。治療を受けるべき症例や、治療する場合の方法、治療費について解説します。
歯髄炎や虫歯などのように歯の内部に異常があるケースは、できるだけ早期の治療が必要です。歯の表面が汚れているだけであれば、治療の必要はありません。
愛犬の歯が全体的に黒く変色していたり、歯に穴が開いていたりするのを発見したときは、すぐに動物病院に連れていきましょう。歯の疾患が自然に良くなることはほとんどなく、放置すればするほど悪化してしまいます。
治療が必要かどうかは、自己判断せずに獣医師に判断してもらうことをおすすめします。また、歯石は歯周病の原因になりますので、早めに歯石除去の処置を受けた方がよいでしょう。
ワンちゃんの歯が黒い時は、歯石除去や抜歯、または根管治療になることが多いと思われます。
歯の表面の黒い汚れは歯石である場合が多く、超音波スケーラーなど専用の器具を用いて、丁寧に除去する必要があります。無麻酔での歯石除去を聞いたり、行ったことがあると思いますが、怪我のリスクやストレスにより口を触らせなくなることがあります。また動くワンちゃんの口の汚れを丁寧に除去することは困難なため、歯周病ケアを目的とする場合、全身麻酔で細かい歯石も丁寧に除去する必要があると考えています。
破折による歯髄炎や歯髄壊死がある場合、根管治療とは、歯髄を除去して歯の内部を消毒し、詰め物をする治療法です。人間の虫歯の治療で「神経を抜く」といいますが、わんちゃんでも同じです。歯を残せることメリットで、重要な機能を持つ犬歯などに行なわれます。
歯髄の壊死や周辺組織の損傷が進んでいると、歯を残すことが難しくなり抜歯が必要です。問題を抱えた歯や損傷した周辺組織を完全に取り除き、状況に応じて縫合します。術後2週間ほどで傷口は治りますが、おもちゃで遊んだり、口に負荷がかかる行為には1か月ほど注意が必要です。
治療費は、根管治療の場合は15万~25万円ほど、抜歯の場合は10万~20万円ほど費用が予想されます。症状の重さや病気のある歯の場所、病院によっても異なりますので、詳細はかかりつけの獣医師に確認してください。
歯の変色にもつながる歯科疾患や汚れを予防し、わんちゃんのお口の健康を守ってあげたいですよね。飼い主さまができる予防法を紹介します。
わんちゃんのお口をきれいに保つためには、毎日の歯磨きが効果的です。歯石の蓄積を防ぐことで、歯周病や変色を予防できます。
ポイントは、わんちゃん専用の歯ブラシや歯磨きジェルを使うことと、唇を持ち上げて歯がしっかり見える状態で磨くことです。歯の表面だけでなく、歯と歯茎の間も優しく丁寧に磨いてあげましょう。
わんちゃんが歯磨きを嫌がる場合は、おやつや歯磨きシートなどを活用するのもおすすめです。少しずつ口を触ることから始めて、徐々に慣らしてください。少し時間がかかるかもしれませんが、毎日の習慣として根気強く続けることが大切です。
KINS WITH動物病院が作ったわんちゃん専用の歯磨きジェル「DENTAL GEL for dogs」はこちらからご購入いただけます
わんちゃんの歯は丈夫そうに見えますが、硬いものを噛んで破折してしまうことがあります。破折によって歯髄に細菌が入ると、炎症を引き起こして歯の壊死の原因となるので注意が必要です。
わんちゃんの歯を傷付けるリスクがあるものは、硬い骨やひづめ、角、ガム、木、プラスチック製品などです。市販の商品でも硬すぎる場合がありますので、必ず飼い主さま自身で安全性を確認してから与えるようにしてください。
目安としては、はさみで切れたり、爪のあとが付いたり、手で曲げることができる程度の柔らかさがあればよいでしょう。
わんちゃんの歯が黒く変色していた場合は、歯の内部に深刻な異常が起きている可能性があります。「ただの汚れだから大丈夫」と自己判断はせず、獣医師の診察を受けましょう。
また、わんちゃんのお口の異常は、目で見ただけではわかりづらいことがあります。定期的に動物病院で歯科検診を受けることがおすすめです。3~6か月ごとに歯や歯茎の様子をチェックしてもらい、歯の病気を未然に防ぎましょう。アメリカの獣医師向けの歯周病ケアのガイドラインでは、1年に1回の全身麻酔での歯石除去が推奨されています。当院でも状態により定期的な歯石除去を推奨しております。
歯の黒ずみや変色などについて気になる症状や疑問があれば、お気軽にご相談ください。
歯周病や歯石、口内炎などの口腔内トラブルへの治療・ 予防、歯周外科、歯周組織の再生療法といった、幅広い歯科治療が可能です。
歯科レントゲンや都内でも導入件数が少ない高性能顕微鏡(マイクロスコープ)を導入し、 肉眼では見えにくい、小さな小さなトラブルも見逃しません。
マイクロスコープは人間の歯科クリニックでも導入されているクリニックは10%ほどと言われる最先端の 機器になります。
年間300件以上の処置を行う熟練の獣医師が最先端の機器を用いて、施術を行います。
お口のトラブルの際はお気軽にご連絡ください。