食欲があるのに犬が下痢をするとき
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「わんちゃんはかむのが好きだから」と、硬い骨や木を与えていませんか?
硬すぎるおもちゃやおやつは、わんちゃんの歯が折れたり欠けたり、ヒビが入ったりする原因になるのです。
折れたり割れたりして歯が損傷した状態を「破折(はせつ)」といいます。治療せずにいると歯の根元が細菌感染を起こし、臓器にまで悪影響が出てしまうかもしれません。もし愛犬の歯が傷ついてしまったら、できるだけ早めの受診と治療が必要です。
今回は、歯が破折する原因やリスク、治療方法などについてご紹介します。
わんちゃんの歯は頑丈そうに見えますが、実は意外と折れやすく、歯の破折はよくみられる症状です。わんちゃんの4匹に1匹が歯に破折などの損傷があるとも言われており、その多くが硬いものをかんだことが原因で起こっています。
破折しやすい歯は、犬歯と上顎第4前臼歯、下顎第1後臼歯です。上顎第4前臼歯と下顎第1後臼歯は、上下のあごの奥にある山のような形の大きな歯で、食べものをかみ切る役割があります。わんちゃんが硬いものをかむときはこれらの歯を使うため、ほかの歯よりも傷つくリスクが高くなっています。
歯は、外側のエナメル質、中間の象牙質(ぞうげしつ)、内側の歯髄(しずい)の3つの層で構成されています。エナメル質は体の中で最も硬い物質ですが、わんちゃんのエナメル質は人間の約10分の1ほどと薄く、簡単に欠けてしまうことがあります。また、一度欠けると再生することはありません。
血管や神経などが含まれる歯髄は歯の健康を維持する組織で、歯髄が露出することを「露髄(ろずい)」といいます。歯が折れて露髄すると、ピンク色や黒色の組織が見えることがあります。露出した歯髄では急速に細菌が炎症を起こし、最終的には壊死してしまいます。
歯の破折は、2つの観点で分類できます。1つは露髄しているかどうか、もう1つは歯茎の中に埋まった部分の「歯根(しこん)」まで破折が及んでいるかどうかです。 露髄していない破折は「単純性破折」、露髄している破折は「複雑性破折」と分類されます。
歯が折れて歯髄が露出してしまった場合、時間経過と共に細菌感染が進行します。わんちゃんの歯が折れたり欠けたりしていることが分かったら、なるべく早く受診してください。
子犬の乳歯が破折した場合、「どうせ抜けるからこのままで大丈夫」と考えてしまうかもしれません。しかし歯茎に炎症が広がると、内部で成長中の永久歯まで細菌感染してしまう可能性があります。折れたのが乳歯であっても、早期の受診が必要です。
わんちゃんの歯が折れたり欠けたりする原因について、具体的に解説します。
骨やひづめ、木、石、プラスチック、ガムなどは、わんちゃんがかじるには硬すぎることがあります。市販されているおもちゃやおやつもわんちゃんの歯を傷つけるリスクがあるので、飼い主さま自身で安全かどうかを見極めるようにしましょう。硬さを判断する基準については後述します。
また、愛犬にケージの網などをかじる癖がある場合も、歯を傷つける原因になってしまいます。もし対処に困っていたら、獣医師やドッグトレーナーに相談した方がよいかもしれません。
交通事故や高い場所からの落下などで衝撃を受け、歯が折れてしまうケースもあります。もしわんちゃんが外傷を受けたときには、口の中にもけががないかを確認するようにしましょう。
エナメル質が欠けた歯は、いわゆる知覚過敏の状態です。歯髄が露出するとさらに痛みを感じるようになり、やがて感染症を引き起こします。
歯が破折した場合にみられる症状や、治療が遅れた場合のリスクについてご説明します。
もし歯が破折しても、わんちゃんに表れる症状はとても分かりにくいことが多いです。そのため飼い主さまが異常に気付かず、健康診断などで獣医師が口の中を診たときに偶然発見されるケースもあります。
大きな変化ではないかもしれませんが、わんちゃんの歯の破折を示す兆候として、以下のような様子がみられることがあります。
歯の破折はなるべく早く治療を受ける必要があります。
普段から愛犬の様子をよく観察し、上記のような兆候が少しでもみられたら動物病院に連れていきましょう。 東京の二子玉川にあるKINS WITH動物病院では、歯科に強い獣医師が診察をしており、都内でも有数の歯科に特化した医療機器を導入しています。愛犬の歯に関するご相談はお気軽に当院までご連絡ください。
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歯髄が露出すると、細菌が入り込んで炎症を引き起こします(歯髄炎)。また、細菌感染が歯根まで及ぶと「歯根膿瘍(しこんのうよう)」という重度の感染症になり、顔の腫れなどが起こります。
細菌は骨や臓器にも影響を及ぼし、あごの骨の弱体化や腎臓、肝臓、心臓などの深刻な病気につながる危険性があります。
歯が破折していることが分かったら、動物病院でレントゲン検査を行います。破折がどの範囲に及んでいるのかなど、状況の詳しい確認が必要となるためです。
「どの歯がいつ折れたのか」、「歯髄は露出しているか」、「細菌感染が進んでいるか」などを獣医師が総合的に判断し、治療方法を決定します。
歯髄が露出していない場合は、表面を滑らかに整えて保護するという処置で済むこともあります。しかし、すでに歯内に入り込んだ細菌があとから炎症を起こすこともあるので、継続的な受診と観察が欠かせません。
一方、歯髄が露出している場合は、その時点で細菌感染がみられなくても、必ず歯科治療を受けることになります。歯科治療には根管(こんかん)治療と抜歯の2つの選択肢があり、以下でそれぞれの治療方法について詳しく解説します。
根管治療は、人間の重度の虫歯を治療する際にも行われます。いわゆる「神経を抜く」といわれる治療方法です。
わんちゃんの根管治療では、全身麻酔をかけて歯髄を除去します。根管や周りの組織を消毒し、詰め物やかぶせ物をして終了です。
メリットは、歯を残せて治療後の回復も早いことです。成功率も高く、抜歯よりも痛みが少ないとされています。機能的に重要な犬歯と上顎第4前臼歯、下顎第1大臼歯に行われることが多い治療です。
抜歯では、全身麻酔をかけて歯根を含む歯全体を除去します。傷口は体内に吸収される糸で縫合されるため、抜糸する必要はありません。
完治には約1~2週間ほどかかります。痛みがある場合は、その間は柔らかいごはんを与え、おもちゃなどはかませないようにしてください。
抜糸するメリットは、その歯の破折や細菌感染の再発を根本的に防げる点です。歯を抜いたとしても、わんちゃんの生活や食事に大きな支障はありません。
▼KINS WITH 動物病院での抜歯の流れを見てみる
破折の治療にかかる治療費は、動物病院、治療方法によって変わります。
抜歯をした場合、事前の検査やレントゲン、それから麻酔と施術。加えて歯周病を予防するためのクリーニングなども含め、100,000円~150,000円ほどが一般的な相場です。
正確にはそれぞれの症状や動物病院によって異なるので、かかりつけ医にご確認ください。
わんちゃんの歯の破折について、リスクや治療方法などをご説明してきました。破折によって起こるさまざまな危険を防ぐために、まずは破折を予防することが大切です。どのようなことに気を付ければ歯の破折を予防できるのか、具体的にご紹介します。
飼い主さまがわんちゃんの歯を守るためにしてあげられることは、「硬すぎるものをかませない」ということです。
硬いものをかじることが大好きなわんちゃんもいるかもしれません。骨や木、プラスチック、ひづめ、ガムなど、硬い素材のおもちゃやおやつがたくさん市販されていますよね。しかし、「犬用に売られているものだから大丈夫」と思わずに、必ず飼い主さま自身で安全な硬さかどうかを確かめるようにしてください。
わんちゃんに与えても大丈夫な硬さの見分け方として、「爪で押すとへこむ」、または「はさみで切ることができる」ものなら与えても安全だと言われています。
また、おもちゃやおやつを与える際には、硬さだけではなく大きさにも注意が必要です。大きすぎるとわんちゃんの口を傷つける可能性があり、小さすぎると誤飲による窒息などの危険があります。
適切なおもちゃやおやつをよくかむことは、わんちゃんにとってデンタルケアやストレス発散などのよい効果があります。愛犬が安全に楽しめるものを選んであげましょう。
「骨や角をかませると歯石が取れるらしい」と聞いたことはありませんか?デンタルケアの効果を強調して骨や角が販売されているのを、インターネットなどで目にしたことがある飼い主さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、骨や角をかじることで歯石がこすり落とされる可能性はあります。しかし骨や角にはそれ以上のリスクがあり、おすすめできません。ここまでお話ししたように、硬すぎる素材は歯の破折を引き起こします。また、骨や角の破片による窒息、食道閉塞などの危険もあります。愛犬のためにと与えたはずが、愛犬を傷つけることになってしまっては本末転倒ですよね。
わんちゃんの歯をきれいにしたいのなら、毎日の歯磨きが最も安全で確実な方法です。すでに付いた歯石をきれいにするには、動物病院で歯石除去(スケーリング)を受けるという選択肢もあります。
わんちゃんの安全と健康のために、与えるものは慎重に選びましょう。
今回は、わんちゃんの歯の破折についてご説明しました。
頑丈に見えるわんちゃんの歯は、硬いものをかじることでたやすく折れてしまう場合があります。破折によって細菌感染が骨や臓器にまで広がる危険性もあるので、もし愛犬の歯が傷ついてしまったらなるべく早く治療を受けましょう。
与えるおもちゃやおやつが安全な硬さかどうかを確かめ、骨や角、ひづめ、木、プラスチックなどの硬すぎる素材を避けることが大切です。
歯の破折について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
KINS WITH動物病院、院長の岡田純一です。当院では愛犬さん、愛猫さん、ご家族の抱えるトラブルに対し、症状をなくすことはもちろん、なるべく根本から解決することを目指しています。
高性能な機器を用いた安全で正確な処置はもちろん、常在菌に着目したアプローチや、お家での生活に対するアドバイスまで丁寧に対応致します。
もちろん手技の技術を向上させるための鍛錬も日々欠かさず行なっております。
愛犬さん、愛猫さんとご家族が元気いっぱいで幸せな時間をなるべく長く過ごすお手伝いができるよう、努めて参ります。よろしくお願い致します。