犬はなぜ「よだれ」を垂らすの?

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飼い主さまは、普段の生活の中でわんちゃんがよだれを垂らしている姿を、何度も見たことがあるかもしれません。わんちゃんの「よだれ」いわゆる唾液には、抗菌成分や酵素、電解質など、わんちゃんの健康を維持するために大切な成分が含まれており、食べものを飲み込んだり、消化を助けるという役割も担っています。しかし、唾液が過剰に分泌され「よだれ」として垂れる場合、飼い主さまはより注意深くわんちゃんを観察する必要があるかもしれません。今回は、わんちゃんのよだれについて詳しく触れていきます。

わんちゃんのよだれが垂れる時

美味しいおやつやいい匂いのごはんを目の前にした時、わんちゃんはよだれを垂らします。わんちゃんは、人間よりもはるかに多くの匂いを感知するので、食べものの匂いには特に反応を示すでしょう。

また、わんちゃんは興奮したり、動揺した時にもよだれを垂らします。お客さんが家に遊びに来た時、わんちゃんがよだれを垂らす姿を見たことがある飼い主さまは多いかもしれません。ドッグランなどで、一度に多くのわんちゃんや人に触れ合う時にも同じような反応を見せてくれるでしょう。

わんちゃんがよだれを垂らす理由には、一部の犬種の特徴によることもあります。例えば、ブラッドハウンド、マスティフ、セントバーナード、ニューファンドランドなどは、口の構造上、唾液が垂れ流しになってしまい、よだれが過剰に垂れているように見えることもあります。垂れ下がった唇と顎で唾液をうまく溜め込むことができず、よだれが垂れてしまうのです。

ポタポタ?泡?水っぽい?気をつけた方がいいよだれの特徴

飼い主さまは、わんちゃんのよだれについてどんなイメージをお持ちでしょうか?ポタポタと垂れるよだれ、ブクブクとした泡のようなよだれ、サラサラとした水っぽいよだれなど、様々なよだれをイメージするかもしれません。わんちゃんのよだれが垂れる時は、食べものや匂い、犬種に由来すると言われます。一方で、わんちゃん特有の正常なよだれの垂れ方とは異なり、実は気をつけた方がいいよだれの場合もあるのです。

「よだれが止まらない」「過剰なよだれの垂れ方」などの場合や、それと同時に現れる他の症状が見られる場合には注意が必要です。

このような場合には、治療が必要な何らかの原因がある可能性がありますので、獣医師に相談することをおすすめします。

過剰なよだれはストレスが原因であることも?

わんちゃんがよだれを垂らしている姿を見て、「もしかして、ストレス?」と感じたことのある飼い主さまもいらっしゃるのではないでしょうか。わんちゃんは、不安や緊張、恐怖やストレスを感じた時にもよだれを垂らすことがあります。例えば、わんちゃんが車に乗った時、めまいのような感覚が生じ、吐き気やよだれが垂れることがあります。また、一部のわんちゃんは車などの乗り物にストレスを感じて緊張すると、よだれを垂らしやすくなるのです。 

しかし、わんちゃんが過剰なよだれを垂らす理由は、ストレスや緊張だけではなく、病気の可能性などを含め、多くの理由が考えられます。ここでは、その過剰なよだれから考えられる病気や原因の一部をご紹介します。

歯周病や口の中のトラブル

歯周病、歯肉炎、口内炎のほか、腫瘍や感染症などが原因となって、よだれが過剰に垂れることがあります。また、硬いものを噛んだり、口の中に異物が詰まったり、傷があったりすることも原因になっている可能性があります。

胃腸の障害やお腹の痛み

消化器系の炎症や疾患、胃や腸のがんなどの消化管に関連する症状は、よだれが垂れる原因になっている可能性があります。また、お腹の痛みもよだれが過剰に垂れる原因として考えられ、落ち着きがない、下痢、食欲がない、腹部膨満などの兆候と同時に現れることもあります。わんちゃんは、お腹が痛い時、お腹の痛むところを守るような動きを見せるので、できるだけ早く気づいてあげることが大切です。

熱中症

暑い季節にわんちゃんがよだれを過剰に垂らす場合は、熱中症の可能性が考えられます。特に、パグ、ボストンテリア、ボクサー、ブルドッグなどの鼻の短い短頭種は、熱中症になりやすいので注意が必要です。特に、暑い季節はお部屋の中に涼しいスペースを設け、新鮮なお水をいつでも飲めるような環境を整えましょう。また、外出は控え、運動やお散歩中にも注意を払うことが大切です。わんちゃんを車の中に放置することは絶対にやめましょう。

また、熱中症の可能性がある場合、よだれが垂れるのと同時に見られる兆候としては、息が激しい、落ち着きがない、興奮している、舌が非常に赤い、歯ぐきが青白い、嘔吐、下痢などがあります。もし、わんちゃんが熱中症なのでは?と思ったら、早急に獣医師の診察を受けましょう。

化学物質や毒性のあるものを舐めた、または口にした

腐食性化学物質

腐食性化学物質とは、金属と反応して腐食を誘発する物質のことで、家庭用の洗剤や酸性のものなども含まれます。これらを舐めたり食べたりすると過剰なよだれを垂らすことがあります。

有毒な植物や動物

有毒な植物や動物、食べもの、薬物を舐めたり口にしたりすると、よだれが過剰に垂れたり生命を脅かす副作用を引き起こすことがあります。例えば、植物ではチューリップ、ツツジ、キクなど、動物では毒性のあるカエルやクモなどです。身近な植物や動物の中にも危険が伴っているということを知っておく必要があるでしょう。お散歩中、好奇心旺盛なわんちゃんの心を満たしながらも注意してあげることが大切です。もちろん、万が一わんちゃんがそれらの植物や動物を舐めたり口にしてしまった場合は、早急に獣医師に相談してください。

このような場合以外にも、お薬による副作用、感染症、生まれながらの特性なども、わんちゃんが過剰によだれを垂らす原因になっていることもあります。

よだれが止まらない!気になる時はどうする?

わんちゃんの過剰なよだれが止まらない時、飼い主さまは心配になり気になってしまうと思います。よだれが止まらない時、飼い主さまは注意深くわんちゃんの様子を見るようにしてみてください。もし、次のような様子がわんちゃんに見られる場合は、何らかの病気が原因となってよだれが過剰に垂れて止まらなくなっているのかもしれません。ぜひ、獣医師に相談するタイミングとして参考になさってみてください。

①食欲がない

②嘔吐や食べたものを吐き出す(ものを飲み込みにくそう)

③元気がない

④落ち着きがなく、息が激しい

⑤痛みによる攻撃性、行動や鳴き声などの変化

⑥手で口を拭うような行為

⑦頭の傾きや平衡感覚の障害

などが挙げられます。これらの症状が現れた場合は、早急に獣医師に相談しましょう。また、上に挙げた例以外にも、飼い主さまから見てわんちゃんの様子が普段と違ったり、または何か様子がおかしいなと思ったら、なるべく早く飼い主さまのタイミングで獣医師に相談することもおすすめです。

よだれの原因が病気の可能性である場合の診断方法

過剰なよだれが止まらず獣医師へ相談し、わんちゃんに何か病気の可能性があった場合、どのようにしてその病気を診断するのでしょうか。獣医師はまず、わんちゃんの口や首などの身体検査から行います。予防接種や投薬、体の中に毒性のものが存在しないか、わんちゃんが食べた可能性のある異物などを含め、病歴について調べます。

それらの身体検査を行い、特定の原因が見つからなかった場合、疑われる原因がわかった場合共に、次の検査へ進みます。X線、または超音波検査で内臓や腫瘍の可能性を調べたり、免疫の問題や腫瘍を検査するための組織生検なども行われることがあります。わんちゃんの過剰なよだれの原因は多岐にわたりますので、治療が必要な場合は、飼い主さまと獣医師さまで十分に話し合い、わんちゃんに最適な治療計画を立てることが大切です。

よだれやけの予防とメリット

多くのわんちゃんにおいて、病気がなくてもよだれが垂れることがあります。。わんちゃんのよだれが垂れる姿は飼い主さまにとって、とても愛らしい姿でもあります。しかし、いくら正常なよだれとはいえ、よだれを垂れたままにしておくと、よだれの跡が付いたりかゆみの原因になり、わんちゃんの口の周りを清潔に保つことができません。

わんちゃんの口の周りを清潔に保つためには、よだれをこまめにタオルで拭いたり、バンダナを巻いたりすることでよだれによる蒸れを解消し、清潔に保つことが大切です。また、わんちゃんの口の周りのケアを日常的にすることで、飼い主さまはわんちゃんの普段のよだれの量を把握し、よだれが止まらなかったり、過剰なよだれが垂れた場合にすぐに気がつくことができるというメリットもあります。

日常的に、わんちゃんの口の周りを清潔に保つケアは、よだれやけの予防にもなりますし、わんちゃんのよだれの変化にも早く気がつくことができます。ぜひ、わんちゃんのよだれケアを毎日のケアと一緒に行いましょう。

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