【犬のフィラリア】症状と予防、必ず知っておいてほしいこと

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最近、わんちゃんが疲れやすくなったり

咳が出るようになっていませんか?

今回は、フィラリア症についてご紹介します。

蚊を通して感染するこの病気…。

どのような症状や治療方法があり、どんなことに気をつければいいのか。

この記事をチェックしてみてくださいね。

犬のフィラリアの概要と症状

犬のフィラリアの概要

フィラリア症とは、フィラリアと呼ばれる寄生虫によって重度の肺疾患、心不全、その他臓器の損傷を引き起こす深刻な病気です。このフィラリアは、蚊の媒介によってわんちゃんのからだの中に入っていき、数ヶ月で成虫に成長し心臓に生息するようになります。その結果、血管や肺の炎症を引き起こし、最悪の場合死に至る場合もあります。

犬のフィラリアの症状

フィラリア症は、わんちゃんの体内にどれだけの寄生虫がいるか、感染してからどのくらい時間が経っているのか、どのような症状がみられているのかが重症度の目安となります。フィラリア症のわんちゃんにみられる初期症状として、乾いた咳、息切れ、脱力感が挙げられます。臓器に寄生虫が入り込んで心肺機能に支障が出るため、散歩などの少しの運動でもスタミナ切れをしてしまうことがあります。また、フィラリアの中でも成虫と幼虫でわんちゃんに与える影響が変わります。

成虫のフィラリア

成虫は、心臓と心臓からつながる主要な血管を詰まらせることによって病気を引き起こします。それにより、他の臓器へ血液が行き渡らなくなり臓器の機能を低下させ、進行した症例ではうっ血性心不全を引き起こし腹部と脚に体液が溜まり腫れるようになります。重度の場合は、運動中に突然死に至る場合もある恐ろしい寄生虫です。

幼虫のフィラリア

幼虫は体全体に循環しますが、主に小さな血管に留まります。その幼虫血管と同じ幅であるため、血流を遮断してしまう可能性があります。その影響で、細胞は血液によって得ていた栄養と酸素を奪われてしまい、主に肺と肝臓を傷つけます。肺の細胞を傷つけると咳を引き起こし、肝機能障害の場合は肝硬変となり貧血や全身の衰弱といった症状が見られます。

重症度の分類

一般的にフィラリア症の重症度は4つの段階があり、クラスが高いほど病気が悪化し症状がはっきりと現れます。

クラス1 

無兆候または軽度の臨床兆候(たまに咳が出るなど)

クラス2

中等度の臨床所見とレントゲン検査上の異常

クラス3

右心不全を含めた、重度の臨床所見とレントゲン検査上の異常

全てのわんちゃんが大静脈症候群を発症するわけではありませんが、治療を放置してしまうとフィラリア症が進行し、心臓、肺、肝臓、腎臓に損傷を与える恐ろしい病気です。

では、どのようにしてフィラリア症に感染するのでしょうか?

犬のフィラリアの原因と感染経路

フィラリアの原因

冒頭にも触れたように、フィラリアが蚊を媒介してわんちゃんの血液に入っていくことで感染します。感染直後の幼虫のフィラリアはからだの中の小さな血管に生息し、成長しながら繁殖していきます。成虫のフィラリアは心臓、肺動脈、その周りの血管に見られ、長さ15~36cm幅3mmまで成長して臓器に大きな損傷を与えます。

フィラリアの感染経路

感染したわんちゃんの体内にいる成虫のフィラリアが、繁殖した幼虫を血液内に放出します。そのわんちゃんが蚊に刺されると、その蚊は幼虫のフィラリアに感染し、その後フィラリアは蚊の体内で2-2.5週間ほど生息しながら感染力を付けていき、蚊が他のわんちゃんを刺すと感染していきます。そのため、犬から犬に直接感染するということはありません。

犬のフィラリアの治療

過去にはいくつかの治療法が存在していましたが、今(2023.02)は成虫の駆除薬が販売中止となってしまいました。加えて、成虫を物理的に除去するための機器も製造中止となり、現在は有効な治療法がなくなってしまいました。

現代では有効な予防薬が開発されましたので、発症を防ぐための予防を行うことが非常に重要となっています。

犬のフィラリアの予防

フィラリア症にならないための一番の対処法は、予防薬を使用することです。わんちゃんの予防医療は、生後6~8週からはじめることがおすすめです。生後7ヶ月以上のわんちゃんに予防医療を開始する場合は、処方する前に感染していないことを確認するために抗原検査をする必要があります。その理由は、症状が分かりづらいフィラリア症の診断に必要不可欠だからです。その後検査で陰性が確認できたら、獣医師に処方された経口薬を毎月服用することで予防することができます。

犬のフィラリアは治る?

上記の通り、現状フィラリアには効果的な治療方法がありません。

よって、日々の生活の中で予防をしっかり行うことが愛犬を守るための方法となります。

例えば東京では、蚊が出る時期を踏まえて5-12月まで予防薬を内服するケースが多いです。現在は温暖化が進んでおり蚊の発生タイミングがずれていることから、当院ではノミダニ予防薬を含めたオールインワンの薬を年間通して投与することを推奨しています。