食欲があるのに犬が下痢をするとき
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てんかんは、犬に見られる最も一般的な神経障害であり、犬の個体数の約 0.75% が罹患していると推定されています。てんかんは、脳の異常に起因する疾患であり大きく三つの状態に分類することができます。遺伝によるもの、脳の構造的問題によるもの、そして、原因不明の要因によるものです。
てんかんの適切な治療を行うためにはまず、発作の種類と原因を正確に診断する必要があり、その後で適切な治療メニューを組み立てることが大切です。
飼い主さまがわんちゃんのてんかんに気づくことはさほど難しくありません。それほど激しい発作が起きるのがこの病気の特徴。適切な処置を行わなければ、将来的に脳に深刻なダメージを負うこともあります。飼い主さまが気づき、いち早く病院へお越しいただくことが大切です。
てんかんの症状は脳のどの部位にどのようなトラブルが起きるかにより、様々な発作を引き起こします。これまで、診断の現場ではてんかんによる多くの異常な行動が見られ、いくつかのパターンとして定義されてきました。
自動症– 唇を鳴らしたり、なめたり、噛んだりするなど、日常的な行動に似た運動を繰り返す
脱力発作 – 突然筋肉の緊張を失い、動けなくなる発作です。意識の消失を伴うことも少なくない
群発発作– 24時間以内に 2 回以上の発作が起きるケース。通常よりも短い間隔で発作が起きる
焦点発作– てんかんの原因となっている箇所が脳のごく一部であるため、身体の一部のみに異常行動が現れる発作。頭の揺れ、片方の手足の筋肉収縮の繰り返し、リズミカルなまばたきなど
ミオクロニー発作– 筋肉または筋肉群の突然の短い収縮。一般的に体の両側でけいれんが発生する状態
てんかん重積症– 発作が途切れることなく連続して起こる重篤な状態、または 1 回の発作が 5 分以上続く重篤な状態
強直性発作– 数分間持続する筋肉の持続的な緊張
発作を引き起こすメカニズムは完全には解明されていないものの、脳の活動の機能不全に起因することが知られています。一般的にてんかんは、脳の特定の領域におけるバランスがなんらかの原因によって過度に「興奮」または「抑制」された状態が発生している状態として考えられています。
先述の通りてんかんは2つのカテゴリーに分類できます。
まずは脳の構造的問題によるもの。
これは、脳の損傷や奇形が原因で発生するものです。そのため、遺伝とは関係なく後天的に発生することもあります。たとえば、脳の炎症、脳の腫瘍、そして頭部外傷などがこれにあたります。また、生まれつき脳に奇形がある場合のほか、脳卒中などの血管が原因のトラブルの結果発生する可能性もあります。
次に原因不明のてんかん。
これは構造的なトラブルが疑われないものの発作が起きている状態です。繰り返しになりますが、てんかんの発作を引き起こすメカニズムは完全には解明されていないため、こうした原因不明なものも一部存在しています。
たとえば遺伝によるもの。
先述のような構造的原因がない場合に疑われるものです。神経に関する検査が正常で、脳の構造異常や疾患、または毒物を食べてしまった等のトラブルが知られていない犬の発作は、遺伝によるてんかんの可能性が考えられます。
遺伝による場合のてんかんが想定される場合、残念ながら発作の正確な原因が不明である場合が珍しくありません。しかし遺伝によるてんかんは特定の品種でより発生しやすいことが知られており、ある程度推定することができます。
*品種のリストは後述します。
てんかんは品種により発生頻度が異なります。以下の犬種に関しては、より発生率が高くなっています。
ビーグル、バーニーズ マウンテン ドッグ、ボーダー コリー、ボクサー ドッグ、コッカー スパニエル、コリー、ダックスフント、ゴールデン レトリバー、アイリッシュ セッター、アイリッシュ ウルフハウンド、キースホンド、ラブラドール レトリーバー、プードル、セント バーナード、シェパード、シェットランド・シープドッグ、シベリアン・ハスキー、スプリンガー・スパニエル、ウェルシュ・コーギー、ワイヤーヘアード・フォックス・テリア
これらの犬種がてんかんを引き起こした場合、構造的な原因の他に遺伝による発症を疑いつつ診断を行います。
てんかんのほとんどは原因が不明なこともあり、完治させることは難しい病気です。
一方でお薬によって症状をコントロールすることは可能であるため、症状に合わせた服薬を行い気長に付き合っていく治療法を当院では推奨しています。
発作の原因を特定することは治療プロセスの最初のステップ。その中で、毒物による中毒などの一時的な問題に反応する発作であるケースの場合のみ、問題が解消されると発作は停止することもあります。
抗てんかん薬による治療は大きな副作用を引き起こすことなく、犬の発作の重症度と頻度を減らすことを目指して処方を行います。徹底的な検査、診断、発作の種類、およびわんちゃんの健康状態、体重、年齢に基づいて、最適な薬を選択することとなります。
また、抗てんかん薬は複数の種類が開発されており、最初の薬でてんかんをコントロールできなかった場合は、他の薬を順に試していくこととなります。
発作を抑えるための薬の服用は、毎日同じ時間に行うことが重要です。医師に処方された正しい用量を正しい時間に与えるようにし、医師に相談することなく薬を中止することは禁忌です。
愛犬の発作が以前に比べて著しく少なくなり、発作が短く重度でなくなったりした場合、治療は成功したと見なされます。当院では、3か月から半年に1回以下に発作頻度を減らすことを目標に治療を行います。
てんかんを発症したわんちゃんの約 60%〜70%は、注意深いモニタリングと共に治療が行われている場合、発作をコントロールすることができます。一方で、てんかんが寛解し継続的な治療を必要としない確率は低く、てんかんを発症したわんちゃんは通常、飼い主さまからの生涯にわたる治療と看病を必要とします。わんちゃんが健やかな毎日を送りつつ、治療を成功させるためには多くの場合、飼い主のみなさまが治療に専念することが鍵となります。
食事はてんかんのコントロールに重要な役割を果たします。もしあなたのわんちゃんがてんかんの治療を受けることになった場合、獣医師への相談なしに食べるものを変えないことが重要です。
わんちゃんがいつ、どんなものを食べているかにより抗てんかん薬の効果に影響を与える可能性があります。具体的な変化で言うと、普段と異なるフードを与えることはもちろん、例えば特別なおやつを気まぐれに与えることなども影響を及ぼす可能性があります。てんかんのコントロールを目指すのであれば、規則的な食生活を心がけることが必要なケースがあります。
多くの心配しているペットの親は、犬を家に一人で残すことができるかどうか疑問に思っています. 事実は、最も愛情深いペットの親でさえ、ある時点で外出する必要があるということです. 犬が発作を起こした場合、家を出るときに最善のことは、ペットが安全で快適な場所にいることを確認して、外出中に発作が発生した場合に犬ができるだけ安全になるようにすることです。
現在、わんちゃんのてんかん発作をより安全かつ効果的に治療するための新しい治療法が、研究者によって模索されています。わんちゃんとヒトのてんかんはよく似ているため、わんちゃんのてんかんを研究することは彼らの健康に影響を与えるだけでなく、人間のてんかん患者の生活を改善する可能性も秘めているためです。
もちろん、わんちゃんのてんかんと人間のてんかんは同一ではなく、いくつかの治療薬では犬と人間で副作用が異なることが示されています。
また、わんちゃんは言葉を話すことができません。一方でてんかんを発症した人々は、自分の発作についてどんな状況であったかを言葉で説明・報告することができます。その説明がわんちゃんのてんかんの発作に酷似していた場合、人間の治療方針がわんちゃんの治療に活かせる場面もあるかもしれません。
今はまだ原因のはっきりしない難しい病ですが、飼い主さまの献身によってわんちゃんは普段通り暮らすことも不可能ではありません。飼い主のみなさまには。気長に見守る役割をどうかお願いできればと思います。
健康診断、予防接種、去勢避妊手術はもちろん、内科・ 消化器等の幅広い診療、終末期診療まで、たくさんのお悩みに寄り添いながら診察を行います。
愛犬・愛猫だけでなく、ご家族にも安心してお越しいただけるよう、基本的にはご家族の前で検査を行い、丁寧にお話を伺いながら診察を進めていきます。そのため、超音波検査も診察室の中に設置しております。
さらに、 血液検査機器を導入し、外部機関への依頼では数日かかる検査を、その場で見る事ができ、素早く診断、治療することへとつなげていきます。